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やたら賢くてメンタル強い友人のお話。強さの秘訣を考える。

やたら頭が良くてメンタルが強い友人がいる。

彼はなんというか頭がいい。知的でも博識でもあるのだが、それより頭がいいというのがピッタリくる。読書家で博識でありながら、その知識すべてが身についていて、常に知行合一である。知ったかぶりや受け売りがなく、すべてを活用している。彼の仕事はつねにスムーズ。周りが仕事やいろんな局面でスタックしているときに彼にきくと、「こうすればいいんじゃない?」とポンと絶妙な答をくれてすべて氷解する。さらに突っ込んで質問してもより深い答がえられ、いつも、自分が基本から間違っていたんだなぁと気付かされる。彼より知識のある人は世の中にたくさんいるんだけど、これほどまでに知識を自分のものにしてバランスの良い人は他になかなか知らない。芸能人で言えば雰囲気がカズレーザー氏とROLAND氏にかなり近い。発言が常に本質をつき、圧倒的な説得力がある。

そんでもって頭の良さに連動してメンタルがつよい。かれこれ10年の付き合いになるが、弱音を吐いたり言い訳をしたりしてるところは見たことがないし、言動は常に一貫している。ブレがなく、嘘がない。何かに怒らないし、怖がらない。奢りもなく、偏見や虚栄心、対抗心、欲深さもない。常に楽しそうで、平静を保っている。ある時、「うつ病簡易テスト」みたいなものを一緒にやってみたら、私は中度のうつ疑いだったのに対し(これはストレスがあれば割とだれでもひっかかる。大学の臨床心理学の授業で受講生みんなでやったのだが、いかにもリア充な人々も重度のうつ病疑いだった)、彼は当てはまらなさすぎてほぼ躁状態(テンションが高すぎる疑い)であった。かろうじて躁状態とならなかったのは、当時彼が毎日10km走り込んでおり、「ここ数ヶ月で大きく体重が変動した(減量した)」に当てはまったからである。「意味もなく落ち込むことがある」「自分なんていらないと思うときがある」などの項目に、ことごとく即答で「ない」と答え、「意味もなく落ち込むって理解ができない笑」と悪気なく笑った姿は、「人は誰しも苦しみを抱えて生きていくものだ」と固く信じていた当時の私にはかなりの衝撃であった。

そんな彼を見ていると、頭の良さは知識と心の強さとの掛け算であるなと思う。恐れや偏見がないからこそ、本質が見えている。さらに、彼は身長が高い上に筋骨隆々で、筋トレを欠かさずフィジカルも強い。こちらも、カズレーザー氏・ROLAND氏似の、柔らかくしなやかな筋肉をたくわえている。両氏も含め、豊かな筋肉が強いメンタルを支えているのかもしれない。私は常々、人を分解すると心、頭、体になると思っていて(いわゆる心技体)、それぞれ相関はありながら別個の存在だと思っているのだが、その彼は全部強いと言っていい。人の強さは心、頭、体の掛け算なのかもしれない。

さて、そんな彼の生き方をみると「他人に言われてやる」ということが基本ない。私は彼と同じ会社で働いていたことがあるが、最低限の職務はきっちりと、一秒の遅刻もなく行う一方、必須でない仕事は徹底的に断っていた(笑顔で)。自分が納得することだけをし、必要でないこと・信義に反することはしない、を徹底していた。そしてそれが許される絶妙な地位を確立していた。

さらに話を聞いていると、小学校から大学に至るまで、徹底的に宿題を断り続けて一切せず、出席も、義務教育時代から、自分が不要だと思う授業は出ず、進級・卒業に必要なものしか出なかったという。テストは、事前に勉強もしないが「その場で考えて」必要な点数を取っていたと。グレてヤンキーだったということもなく、ただそうしたくてそうしていたらしい。

さて、学生時代「ロクな大人にならんぞ」と言われ続けて大人になった彼は今どうなったかというと、経営者としてひとりでビジネスをしつつ、投資を行い、かつ「気分転換のために」短時間の企業勤めをしている。ビジネスは一日2時間ほど行うことで十分な利益を確保できるよう設計しており、顧客からは日々感謝され、クレー厶もない。もちろん法律スレスレとかいうことなく、ごくホワイトな業務内容だ。投資も、自分で決めたルールを徹底し、最低限の売り買いで損せず運用している。さらに会社では、先述のようにごく最低限しか働かないのに、上司には「君がいてくれると助かる」と重宝され、同僚たちには「この仕事教えてください」と慕われ、ときに後輩たちに「いい話をきかせてもらいました!」と飲み代を奢られている。収入はとても多いわけではなく、「これくらいが税金対策に良い」程度の稼ぎで満足しているようだが、プレッシャーや多忙さ、ストレスとは無関係で余暇の時間も多く、趣味を充実させて実に幸せそうに暮らしている。彼は好き勝手生きたように見えて、自分すべての責任をとって生きてきて、それがそのまま今の日々に表れているようである。

翻って私は、居眠りや遅刻が多く優等生ではなかったけれど、基本は毎日学校に行き、校則も守っていた。根は従順で、「先生の言うことを聞かねばならない」と思っている真面目ないい子であった。その結果、今もそのまま、「だれかに面倒を見てほしい。どこかにある答えを教えてほしい」と他力本願なところがある。自分のことでさえ自分で決められず、よくいろんな人に頼ってしまう。

ごく小さなことでも、「他人に言われたから」「他人が言うから」と他人軸で動くのではなく、自分の頭で決める。心から納得して行動する。その積み重ねが心を鍛え、偏見のない目を養い、自分を強くするのだろう。自分に嘘がない人は強い。「破!」といえば魑魅魍魎も吹き飛ばせる。彼の生き方はとても参考になる。

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