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君、熟したさくらんぼだけ食べたい?

と聞かれたら、答えはもちろん「YES」。
さくらんぼ狩りに行ったら、やっぱり熟す前の青い実を避けて、真っ赤に熟したさくらんぼを選ぶだろう。
熟したさくらんぼって、口に入れるとプチっと皮がはじけてジュワーっと甘い果汁があふれて、思わずにんまりしてしまう。
今年は山形にさくらんぼ狩りに行こうと思っている。いや、絶対行く。

最近、なにをかリサーチして情報を集めるとき、このさくらんぼ狩り状態にならないように気を付けている。いわゆる、自分の都合のいい情報だけを集めるチェリーピッキングと呼ばれるものだ。

チェリーピッキング(英語表記)cherry picking
収益の見込める顧客だけを選び取ること。
自説都合のよい根拠だけを選び取り、提示すること。

出典:コトバンク

ライターとして注目したのは、自説に都合よい根拠だけ選び取り、提示することのほう。自説に都合の悪い根拠を見ぬふりをして、結論ありきの内容になってしまうからだ。きっとそのまま記事を書いたとすると、信ぴょう性に欠ける内容になるから本当に怖いことだと思う。

チェリーピッキングを避けるために、頭のなかにもう一人の自分を作ることにしている。それも相当意地悪で偏屈なやつ。こいつに、いちいちツッコミを入れさせる。
「それって何人に意見聞いた結果なの?」
「そもそもさー、これって調査の対象層の設定おかしくない?」
「こっちの事例にも言えるよね?」
という具合に。

自説に自分で反論する思考は、なにもライターだけの特別な技術ではない。
私はこの思考を会社の上司に教わった。何度も報告書を修正され、矛盾を指摘され、泣きたくなるときもあったけど今となっては感謝している。

先日入試を終え、勉強漬けの毎日から解放された娘が言った。
「景色が違って見える」と。彼女のこの一言がとても印象的だった。
もちろん実際はいつもと変わらない景色なのだが、気持ちの解放感から景色がクリアに見えたのだろう。

同じ景色でも、書き手によって表現の仕方は変わる。
ライターとして記事を書くとき、必ず自分の目を通して書くことになる。
自分のなかのフィルターを通して見た世界を書いていく。経験をたくさん積めばフィルターは何層にもなり、情報はどんどん濾過され、精度が増すような気がする。

さくらんぼが美味しいのは知っている。でもどんなふうに樹に実っているのか実際に見たことがない。さくらんぼが食べたいときはスーパーで買えばいいのだが、さくらんぼを実際に自分で摘み取って食べてみたい。
そんなことを思いながら、山形旅行の計画を立てるためInstagramで情報を集めている。
もちろんチェリーピッキングを避けてだ。






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