(28)認知症と衣服

認知症になると季節がわからなかったり日付がわからなかったりする人が多くいると聞く。義父もその1人だ。でも、義父は暑いとか寒いとかは感じている。しかし、暑い寒いを感じることと服を選ぶことは、義父の場合、つながっていないようだ。服は全ての季節のものはタンスに入りきらないので衣替えで入れ替えているが、肌着の引き出しは、冬用も夏用も入れっぱなしである。すると、昨日(7月24日の酷暑)義父は、ヒートテックの長袖肌着を着ていた。日中、35度にもなるような暑さなのに、長袖ヒートテック肌着…。私はすぐに、「あれ?!長袖着てるの?半袖の肌着も半袖のポロシャツもたくさんタンスに入ってるから!着替えて着替えて!!」と言った。すると義父は、そこで初めて自分の服装が今の気候に合ってなくておかしいと気づいたと同時に、どれを着たらいいのかわからないということをバレたくない、というプライドや自尊心が出てきたのだろうか。「そうやねん。さっき間違えて出してもうたんや。もう一回着替えますわ。」と言いながら部屋に入っていった。わかってるよ、というふうに私にふるまっていた。暑い、寒いは感じてても、だから涼しい服装にしよう、だから暖かい服装にしよう、という思考には結びつかなくなってるんだなあと思う。そして、それを周りに知られたくもないんだなあ、と。


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