(27)義父 病院へ
義父は病院嫌い。私がここに嫁いで20数年、体調不良で病院に行ったことはない。体調は何度か崩している。胃腸炎のようになっていたときや風邪をひいていたとき、痔が悪化して痛そうだったとき、など記憶にあるが、そんなときも薬局で薬を買ってきて飲んだりはするだけで、病院には行かない。唯一病院に行けたことといえば、新型コロナウイルスの予防接種を受けるために近所の耳鼻科に行ったことだ。これは、病院でいろいろ検査されたり病気が見つかったり、というわけではないから行けたのだろう。そんな病院嫌いの義父だが、介護認定を受けるためにはお医者さんの意見書というものが必要らしく、病院に行かないといけない。初めての認定のときも、病院に行く必要はないという義父を、「じいちゃんは高齢だけど通院歴がないから、1度健康診断を受けてくださいって役所のほうから言われてるからね」など理由を作りながら連れて行った。このたび認定見直しで再度病院に行く必要があったので、今回も義母の通院に合わせて同じ先生に見てもらうことにした。先生に、「お変わりはないですか?自分の中であれ?と思うようなこととか」と、物忘れや認知症について自分で気づいているかどうかを探るような質問があったが、義父は「いえ、そういうことは何もありませんけど」と答え、見ると表情もとてもかたかった。自分の認知症症状について本当に気づいていないのか、それとも話したくないのか、どちらなのかわからないが、自分はしっかりしている、何も困っていない、という態度を貫いていた。その後義父母には席をはずしてもらい、実際のところを先生にお話し、意見書作成の依頼をして帰ってきた。1ヶ月後ぐらいには、認定の結果がでるだろう。そして、これからは義父も月に一回程度、義母の通院に合わせて診察予約を入れてもらうことにした。かかりつけ医がないのは何かと不安だったし、どこの診察券もなかった義父に、1枚診察券が出来た。