(30)義父と孫

義父は、自分の嫁、息子(私の夫)、息子の嫁(私)のことがわからなくなったり、わかっているけどどんな呼び方していたのか思い出せなかったりすることが増えてきているが、孫のことは今のところわからなくなったことはなさそうだ。毎日顔を合わせ毎日身の回りのことを気づかってもらっている家族のことはわからなくなるのに、一人暮らしをしていてたまにしか会えない孫のことは忘れない。夏休みになり、帰省した息子が義父に顔を見せると、嬉しそうに普通の会話ができる。徘徊なんてない、せん妄なんてない、家族がわからなくなるなんてない、数年前の義父のようになる。年相応に物忘れはあるものの、意味不明な言動はなくなる。緊張感の有無だろうか…。徘徊(家に帰ります。)と言って出ていくのを止められないときに、息子に「じいちゃんどこ行くん!家に帰るってここが家やん!」と言ってみてもらったら、もしかして徘徊をやめるのだろうか…。


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