クミ長のフランスかぶれ滞在記⑥ 「ボルドー」という色
私のコアカラー、「ボルドー」
私にはテーマを示すコアカラーがある。名刺入れ、ノートカバー、ボールペンや万年筆などの小物、そしてスーツの裏地。
もう10年以上前、自己ブランディングの再構築を進めているときに、テーマカラーで悩んだ。好きな色は沢山あるけど、その中で私を示す色って何だろう。理由を付けてみてもスッキリせず、モヤモヤしているとき、ふと足元をみて「これだ!」と思った。
国会の赤じゅうたんの色
仕事中の私の足元には国会の赤じゅうたんが続いていた。濃く深い赤。それがボルドーという色だった。
「これだ」
写真(国会のじゅうたん)
それから、私はバッグも靴もベルトもスマホのケースも、ボルドーを見つけると手にし、今では小物は全てボルドー。
ここまでくると、「ボルドー」が他人とは思えない。普段はシャンパンばかり飲んでいるけど、次フランスに行けたらボルドーに行ってみたかった。
Bordeauxという街
そんなボルドーという色への思いもあって、一度行ってみたいと思っていた街でもある。ボルドーはビジネスの活気で賑やかな都会でした。
街は大きくてファッションやインテリア、お料理の道具などのお店が軒を連ね、賑やかで華やか。メゾンがお行儀よく軒を連ねるシャンパーニュとはずいぶん印象が違う。
18〜19世紀の都市計画で生まれたガロンヌ川と生活空間の調和が評価され、市街区域1810ヘクタールが世界遺産に登録されている。Parisから約500㎞。TGVで2時間。同じワイン農家でも、ワインをビジネスの商材ととらえるビジネスマンがボルドーの特徴。そのせいか、スーツ姿で流暢な英語でカフェで話をしている人も。なるほど、確かに雰囲気が違う。
ボルドーの葡萄畑
葡萄畑はシャンパーニュより少し苗の背丈が高かった。ボルドーというと赤ワインの「ボルドー」のことだと思い込んでいたけど、色は作り方の違い。ボルドーにも白も泡もある。楽しみにしていたこのお店はお休みだったけど(涙
色を選ぶ
「好きな色」と「コアカラー」とは違う。
好きな色はどんな色でも良い。でもそれを自分を表現する「コアカラー」は特別な作業を経て決めてゆかなければならない。
コアカラーとは、自分を表現する中心となる色のこと。政治家であれば、その色で自分の主張を現すことができる色。例えば黄色なら、透明感、新しさ、フレッシュ、ビタミン!ブルーなら、爽やか、空、水、清々しさ、清廉潔白、新人。
ただ、この「黄色」や「青」も、少しの変化で無数の色が存在する。ここがコアカラーを選ぶポイント。一番大切なのは、自分の肌の色調を調べてブルーベースかイエローベースをを知り、細かな選定作業を経て自分の色を決定してゆく。
コンサルティングではこの作業がとても難しく、地域の特殊性と併せてしばらく悩みます。私の色「ボルドー」もこうして決まりました。
選挙に勝った人だけが足元に踏みしめることができる赤絨毯。その色が「勝たせ屋」鈴鹿の色。それから私の身の回りにはボルドーが増えてきました。
飲むのはシャンパーニュ、身に着けるのはボルドー。今回は、好きすぎるこの二つを追いかけてフランスを歩いています。
MISSION
畑の隅にあったこの碑には「MISSION 1885」と刻まれていました。誰がどんなミッションを受け取りここに記したのか知る由もありませんが、一人の人が人生を賭してMISSIONを胸に日々を過ごした土地なのでしょう。上手くいかない日が続いたり、他の人が立派に見えたり、自分だけ取り残されているように感じたり、地平線から地平線まで、どこまでも続く葡萄畑を見わたし、涙にくれる日もあったのかもしれません。
自分のMISSIONを捨てることもできなかった日、何を思ったのだろう。「MISSION」の碑の言葉が重苦しく辛い日も多かったのかもしれない。
勝敗
昔、敬愛する先生に言われた言葉がある。
「久美子、人生は長いひとつの文章のようなものだ。途中で、それが良い文章なのか悪い文章なのか、誰もわからない。最後の〇がつく時まで、自分で評価をしてはいけないよ」
夜、小さなレストランでワインを選んでいる時、懐かしい先生の言葉が蘇った。ワインも作られてから何年後に抜栓されるのか、自分で決めることはできない。どんな場所で開けられて、なんて評価されるのかも。だけど、ワインはきっと凛としている。だってこの味に変わりようはないからね。
サッカーは負けたけど
サッカーはにわかファンでフランスを応援したけど、決勝戦は残念だった。マクロンが応援している絵が何度も映っていた。彼も残念そうだった。
フランスのサッカーチームはその色から「レ・ブルー」と言われる。きれいな深いブルーは、経験の深さ、チーム力の厚み、思慮深さと底力を現しているように見える。アルゼンチンの薄いブルーと白の組み合わせより、この色の深さは好きだったんだけど。
2022年
2022年は、3年前に行った年末年始をフランスで過ごすのをもう一度やってみたかった。2023年春の統一地方選挙直前で忙しいのはわかっていたけど、忙しくないときは、多分ないから、好きなことでやれてなかったことやっちゃえ。
今できることなら、やってみよう。好きなこと並べて好きに囲まれて、機嫌よく過ごす環境を整えていこう。子育てが終わり、少し自由な時間ができたのだから「できない理由」を探す癖を手放そう。
レストランで私が座った席の頭上に飾られているこの絵を見て、こんなときもあったと思いながら、この絵がセピア色の理由も知らされた気がした。
今年もお世話になりました。
2023年も、どうぞ宜しくお願いします。