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One Summer Evening... 〜ある夏の日の夕暮れ〜

2005年7月6日の日記。
米国ヴァージニア州の片隅にある日系企業の現地法人で、日本人駐在員である「ぼす」の元、秘書兼通訳兼「やっかいごと よろず引き受け業」的な何でも屋さんとしてお仕事をしていた頃のお話。
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「Fair に行こう」と誘われたのである。

毎年夏になると、トレーラー・トラックが連なってヴァージニアの片田舎にも FAIR (フェア)がやってくる。

各地を巡業している移動式の遊園地。
Ferris Wheel (フェリス ウィール)こと観覧車や、Carousel (カルゥセル)ことメリィ・ゴーランド。

なにしろ年季の入った組み立て式なので接合部の錆びたボルトが、気にならないと言ったら嘘になるけれど、子豚のレースに射的場、見世物小屋に沢山の出店。ちょっとしたお祭を楽しまなくっちゃ損である。

当地にやってくる中でも最大規模の FAIR が先週から会社の近くで開かれているのだけれど、足を運んだのは今回が初めて。

“How many times have you been?”
(クミは何回行った?)

と聞かれて

“Never.”
(一度も。)

って答えたら、帰国する前に一回くらいは行っときなさいってことで、半ば無理やり連れて行かれたというのが実情だったりするのだけれど。

日本で見かけるモノに比べたらサイズは遥かに小さいくせに、どういう訳だか4周もしてくれる観覧車に乗ったり、カロリィがめちゃくちゃ高そうな特大ソーセージのサンドイッチを食べたり、ワイヤがぎしぎし悲鳴を上げてる絶叫マシンで大騒ぎしているうちに、ふと気付けば日中鬱積していたストレスはどこかに吹っ飛んでしまった感じ。

“You should come back around this time next year, so we can go again!”
(来年の今頃また帰ってきなさいよ。そしたらまた皆で行けるわ。)

数え切れない程の蛍の灯りをバックに、友人がそんなコトを言う。

現実的に考えたら、たぶん無理なんじゃないかと思うけれど。色とりどりのイルミネーションや
調子っぱずれの陽気な音楽。綿菓子の甘い香りと
ちょっと汗ばむような蒸し暑い夕暮れ。
きっと、いつでも思い出すだろう。
友人達の笑顔とともに。

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