オジとのイヴ…
12月24日…クリスマス・イヴ
約束の初デート…
初と言うのは厳密に言えば違うのかも…。
地元では名の知れているイタリア料理のお店で待ち合わせした。
私は、会社のロッカーにデート用の洋服を持って行って、仕事終わりに着替えた。
下着もトイレで履き替えた…
(何、気合を入れてるんだ?)
オレンジ色の、花の刺繍が入った物。パンティは勿論Tにした。
クリスマスの🎁も用意した…。
色々考えたけど、オジは愛煙家なのでZippoにした…。ただ一度も私の前で煙草を吸ったことが無い…。
朝、とっ散らかっていて、ブーツを忘れてしまった。
おばあちゃんのHELPのお陰で、何とかピンチを切り抜けられた✨
待ち合わせ時間の10分前に、お店の中に入ると既にオジは来ていた。
「この前は本当にすみませんでした。私、どうかしていました…。」
映画と焼肉の時の事を謝った。
オジは『気にしてないから謝らないで…』
そう優しく言った。
(キュン♪)
『今夜は、ミクちゃんに話しがあって…』
「クミですけど…!」
お決まりのボケ?
「うん、いやハイ…」
『クミちゃん、あのさ、初めて会った日の事覚えてる?』
「もちろんです。亜紀に誘われて飲みに行った時ですよね?」
『悲愴感で、壊れそうなクミちゃんを楽しませたいと思った日…』
「酷かったですよね?私…」
『で、あの…クミちゃんの事』
ワインを持って店員さんが、こちら〇〇の〜~ですみたいな事を言ったけど私には全く分からなかった…
『あっ、いきなりごめん…先ずは乾杯だね。』
『お誕生日おめでとう…』
「勝手に歳を重ねないで下さい。」
『メリークリスマス、イヴ?』
少し緊張が解れた…
『彼氏でも何でもないけど…コレ。』
プレゼントを差し出された。
「えっ?そんな…」
嬉しかったけど、一応お決まり?
「開けて良いですか?」
『はい。』
リボンを解き包みを開いた。箱が…開けると、あの馬蹄のネックレスだった…。
「これって…」
『気に入ってくれたかな?』
「うん…。」
暫く食事で無言…
『僕と付き合って欲しい…かなり歳上だけど。クミちゃんが好きなんだ…』
「私、私からもメリクリ…」
返事を誤魔化すようにプレゼントを渡した…。
『ZIPPO?嬉しいな〜。煙草吸う事知っていたの?』
「うん…私も時々…」
暫くまた無言…
『海に行ったでしょ?あの時に好きだと確信した…』
「私、離婚したばかりで…少し考えさせてもらっても良いですか?」
『勿論。』
後は他愛もない話と、食事を堪能した。
駅でタクシーに乗ろうと、店から歩いた…
駅前のイルミネーションを見て、私は何故か涙が溢れた。
オジが指で涙を拭い、ハンカチを…
ハンカチを渡した手で私を引き寄せ、抱きしめられた。
顎に手を、そして唇を合わせた…。
心臓が破裂したかと…思う程バクバクした。
『それじゃまた、連絡するね…』
「うん…またね。」
タクシーに乗り家に向かう。
嬉しい。なのに何故返事をしなかったのか?
私、バカ?…本当にバカだよね。
※実話です。バカな女です…。