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NODA・MAP 『正三角関係』
こんにちは。
今回は舞台の感想を。
NODA・MAP『正三角関係』を観てきました。
ネタバレも含むかもしれないので、苦手な方はお気をつけください。
野田秀樹作品は割と観てると思います。夢の遊眠社時代の『半神』に始まり、『パンドラの鐘』『赤鬼』『贋作・桜の森の満開の下』などなど。生では関西で生活を始めた4年前から毎年観れてます。『フェイク・スピア』『Q』『兎、波を走る』そして今回の『正三角関係』。
今回はフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を下敷きにしつつ長崎原爆の話を織り交ぜているのですが、私は『カラマーゾフの兄弟』は読んだことないどころかドストエフスキーは微塵も触れたことないです。読もうかと思いましたが、時間がなかった。残念。
結論から言いますと、今回は個人的には全然刺さらなかった作品でした。面白くない訳では無いけど、刺さらない。普通でした。いや、むしろ作品にのめり込んで上演時間を忘れる...みたいなことがなく長く感じた。
まず長崎原爆というキーワードが既に『パンドラの鐘』で観た景色。『パンドラ』では純粋に落とされた者たちの話、落とされるまで戦いを長引かせたトップへの責任の話に対して、今回は『カラマーゾフの兄弟』が花火師の家系に姿を変え、特に次男威蕃は自ら核分裂反応を導き出した物理学者であり、どっちかというと原爆を作る者たちの話も孕んでいるという点では違いましたが、結構過去の野田作品で観たことある景色が連続した印象で退屈でした。あと純粋に『カラマーゾフの兄弟』で長崎原爆を演る意味が僕にはあまり分からなかった。いや、『カラマーゾフの兄弟』というよりかはロシア文学で演る意味が。作中でも描かれていたように第二次世界大戦時の日ソ中立条約の破棄や、ソ連の満州や樺太の侵攻が描きたかったのであればロシア文学を下敷きにするのも分かるのですが、そのソ連周りの話も物語のかなり終盤で動くというか、あくまで軸のテーマは長崎原爆といった印象。それをアメリカ文学で演るなら分かるんですが、ロシア文学でいった所がよく分からない。いや、もしかしたらアメリカが長崎に原爆を投下した事と、ソ連は密接に関係しているのかもしれない。僕が単に歴史を知らないだけかもしれない。自分の無知故に早計な発言をしていたらごめんなさい。とにかく今の僕には長崎原爆の話とソ連の宣戦布告の話が上手く共生出来ていないように思えた。
あと、開演後すぐに感じたのが、主要キャストのセリフが聞き取りづらい。これは会場の構造の問題や設備の問題なのかもしれないが、僕には俳優の発語スタイルがかなり映像寄りに感じたというか、舞台の演技では無いかなと感じてしまった。最後まで聞き取れ無さすぎてストレスだったし、なんなら対照的にアンサンブルのセリフがめっちゃ聞き取れた。メインキャストでも長澤まさみや池谷のぶえは聞き取れた。松本潤や永山瑛太も結構聞き取りづらかったが、竹中直人と野田秀樹が1番しんどかった。いや、竹中さんはあの独特な台詞回しだから仕方ないのかもなぁ。『Q』の時もっと聞き取れた気がしたけど。野田さんも声質が元々ガサガサ系だし厳しいのかもしれない。でも、純粋に聞き取れなかったなぁ。マイクもっと大きくしてもいいかもです。
カーテンコールも、周りはスタンディングオベーションしてたけど、僕はうーん...だったので出来ませんでした。
でも、僕は「野田秀樹の書くモノローグ」が好きなのだなと。最後の松本潤のモノローグを聞いただけで、この作品全てが良かったかのように錯覚してしまいそうになった。『フェイク・スピア』の高橋一生や『パンドラの鐘』の堤真一のモノローグもめちゃくちゃ好きだったので、再認識。
あと原摩利彦の手がける音楽も好きだなと。最後の松潤のモノローグの時に流れる劇伴だけで泣きそうになった。調べたら先述した『フェイク・スピア』や『パンドラの鐘』など僕が好きな野田作品は大体手がけてたから納得。野田さんの書くモノローグと原さんの音楽のマリアージュは最強だ。
長澤まさみも素直に素晴らしかった。発語も聞き取りやすく、男役と女役の演じ分けが凄まじい。え、あの早替えどうやってんの?
要所要所で好きなとこもあって、今回多く見られた踊り?というより舞踏的な身体表現や、スローモーションの演出は結構好きだった。
そんな感じかな。
まだ観たばかりだし、パンフレットも読み切ってないので、咀嚼するのには時間がかかりそう。
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おわり。