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中国恒大集团に就職して酷い目にあった中国人のお話
恒大集团がアメリカで破産申請をしたことが大きな話題になってます。
もし恒大集团が破綻するとリーマンショック並みの衝撃が世界に走ると言う人もいれば、日本のバブル崩壊と同じく中国国内が不景気になる程度で収まると言う人もいます。
これからどんな事が起きるかなんて、わたしにはわかりませんが、今までに起きたことであればお伝えできることがあります。それは、安定を夢みて子どもの頃から努力を続け、大学へ進学し、新卒で恒大集团に就職した中国人のお話です。
Aさんとしましょう。
Aさんは、2020年9月に恒大集团に就職しました。そして会社が準備してくれたマンションにて同僚と暮らしていました。当時、恒大集团はプロサッカーチームも所有する大企業でした。
Aさんは、とうとう夢だった安定的な職業を手に入れて、今までの長い苦労が報われたように感じたそうです。
しかし、2021年には雲行きが怪しくなります。恒大集团は危ないのではないかという噂が流れだします。実際、広州FC(以前の広州恒大淘宝足球倶楽部)はカンナバーロ監督を経済難を理由に解任します。
加えて債権不履行を繰り返すようになります。もうこうなると、今まで豪華客船だと思っていた会社は泥船であることに、新人社員であったAさんも気づくことになります。
そしてAさんに辞令が下ります。担当することになったのは債権者と連絡をして、債権を放棄してもらう、もしくは債権額を減額してもらうというストレスしかないお仕事でした。
努力家のAさんは誠実に仕事に取り組みます。債権者に電話をし、怒鳴られたり、理不尽な文句を言われながらも辛抱強く債権額の減額をお願いします。
やっとの思いで交渉に成功し、債権額を額面の10%までに減らすことにできたと上司に報告すると、上司は減額に同意するなら、債権の完全な放棄にも同意するだろうともう一度電話するように言う始末。
Aさんは、やってられないと会社を辞めることにしました。
その後、Aさんは再就職し、別の企業でしっかり働いています。恒大集团ほどの有名企業ではありませんが、生活していくのに必要な収入を得ることができますし、何よりも不必要なストレスを減らすことができたと話してくれました。
恒大集团において、債権不履行はすでに繰り返されていたことですので、アメリカでの破産申請がなされたことに驚きも衝撃もとくにありません。むしろ債権不履行をすでに2年近く繰り返しておきながら、今まで破綻もせずに生き延びてきたことのほうが驚きです。
またアメリカで申請された破産申請も、会社が破綻したからではなく、完全な破綻を防ぐためのひとつの方策のようです。
ただ、どんな手を打ったしても、泥船化して数年が経過していますし、ここからの立て直しは難しいだろうと思います。
そして、すでにAさんのように誠実に職務に取り組んできたスタッフが、恒大集团に見切りをつけて退職しているというのも深刻です。お金もなければ、信用もない。さらには信頼できるスタッフもいない状況では、まさに手詰まり、どうにもならないでしょう。
さてさて、今後の中国がどうなるかなんて私にはわかりません。
わたしは予言者ではないのでコメントを控えますが、投機的な投資や、出たとこ勝負的な経営判断、そして目先の利益を追求する態度などが幅をきかせている限り、現状からの復活は見込めないのではと思います。
加えて、コロナ初期、もしくはコロナ前であれば、Aさんのように誠実に努力している人であれば、仕事を見つけることができたのですが、今では就職すら難しくなりました。卒業したら即失業とか、学生がゾンビ化してるなんて言ってますが、そのうち冗談を言う余裕すら失ってしまうのではなんて思っております。
そんなわけで明日は我が身と思い、できることを行っていかなくてはと思う毎日です。今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。
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