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中国の大学院で日本酒を試飲してもらったら、飲酒文化について考えることになったお話

昨日、中国のとある大学院で日本文化体験授業をおこないました。

みんなで抹茶をたてたり、どら焼きを作ったりしてとても楽しい時間を過ごせました。そして日本酒の試飲をおこなったのですが、学生たちの反応は今ひとつ。

体験授業のあとに、質疑応答の時間をとると、次のような質問がありました。

「日本人は日本酒で酔っ払うのですか?これってアルコール15%くらいですよね」
「アルコール度数が低いので1升瓶で日本酒を売っているのですか」

どうやら日本酒が飲みやすく、これでは酔わないと思ったようです。

彼らの疑問もよくわかります。中国の乾杯に使われるお酒は白酒という透明の蒸留酒で、アルコール度数は45度、50度を超えるものもあります。

わたしは白酒の香りは好きですが、度数が高く喉が焼けること。
そして悪酔いしないと言いますが、飲み過ぎれば調子が悪くなりますので、できれば飲まないようにしています。

見た目は白酒のような日本酒。日本酒も良い香りがしますが、サラリと飲めるところは白酒と違う。このようなお酒を飲んで酔っ払うのかと疑問に思ったのでしょう。

さて、異文化交流担当の講師として、どう答えようかと悩んでいると、筑波大学へ留学した経験のある、大学院で教員をしている中国人が、手を上げてコメントしてくれました。

日本酒のアルコール度数は白酒と比べると低いが、アルコールに違いないので、大量に飲めば酔います。体質によっては少しのアルコールでも酔う人がいます。それは中国人も同じです。

ここまでは、異文化というか健康とか生活習慣のお話しです。でも折角の異文化学習ですので、アルコールに対する見方という点で説明を加えていきました。

「無礼講」もしくは、アニメやドラマで描かれる「酔って潰れる」ことへの感じ方です。

中国人も飲むときは騒ぎます。上下の関係はあるのでしょうが、食事中は日本で言うところの無礼講がある程度許されます。これは日本も同じです。今晩は無礼講だからといって上司の頭をはたいたりすることは許されません。無礼講は緊張することなく飲むことが許されているという意味でしょう。

しかし「酔って潰れる」ということに対しての考え方は違います。

ごくまれに飲み過ぎて、友人たちに抱えられるようにして歩いている中国人を見ます。学生たちに聞くと、友人が歩けなくなるまで飲ましてしまったことを恥ずかしく思うし、当人も次の日には嫌な気持ちになると思うと話してました。

それで、日本人が飲んでいる最中に、意識を失って眠ってしまうという描写をドラマやアニメで見ると、大丈夫なのか?と不安になるそうです。

先日、ビール100本で100元という羊肉のお店でも、中国人Mさんは10本ほど飲んだ時点で、自分からビールをすすめなくなりました。相手の許容量がわからない場合、限界を試すのではなく、かなり手前で飲むのをやめる印象があります。

それに対して、日本は酔って潰れることに対して寛容な雰囲気があると感じます。

ある人は、それを中国は治安が悪いからとか、飲んで潰れたら何されるかわからないからじゃないと言います。でも、日本だって酔って駅や公園で寝ていれば犯罪の餌食になるのは同じです。

最近でも、女性が潰れるまで飲ましたり、こっそりと飲み物に薬を入れて前後不覚にしたりして、乱暴するという事件が報道されました。中国でも同様の事件がありましたので、リスクからいうと日本も中国も同じです。

それなのに、どうして日本は酔うこと、そして酔って乱れることに寛容なのか、さらに調査してみたいなと思いました。これには中国人学生たちも疑問を持ったようです。

さて、今回の文化体験授業は無事に終わりました。次回は「歌」を歌いたいという意見がありましたので、挑戦してみたいと思います。

どんな反応になるのかな?
今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。

ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。