見出し画像

真夜中の図書館:本の中に隠された秘密


真夜中の図書館は、街の外れにひっそりと佇んでいる。夜になると、その古びた木の扉が静かに開く。そして、一歩足を踏み入れると、普通の図書館とは違う、不思議な世界が広がっているのだ。

ある晩、大学生の陽菜(ひな)は、友人から聞いた噂話に誘われて、その図書館に足を運んだ。図書館には誰もいないはずだが、どこからともなく、紙がめくれる音が聞こえる。驚いた陽菜は、音のする方へ向かってみた。

そこにあったのは、古い本だった。表紙には何も書かれておらず、ただただ無地の黒。だが、何かに引き寄せられるように、陽菜はその本を手に取った。

本を開くと、中にはぎっしりと文字が詰まっていた。しかし、それは普通の文章ではなく、奇妙な詩や暗号のようだった。ページをめくるごとに、陽菜の周りの空気が変わり、まるで別の世界にいるような感覚に包まれた。

突然、背後から声がした。「その本に触れた者は、真実を知ることになる。」振り返ると、見知らぬ老人が立っていた。老人は、長い白髪と鋭い目を持ち、この図書館の主のような雰囲気を纏っている。

「本の中に隠された秘密を知りたいか?」老人の問いに、陽菜は無言でうなずいた。

老人は微笑み、本の一ページを指さした。「ここに書かれていることは、現実世界では決して知ることのできない真実だ。しかし、その代償として、君は二度とこの図書館から出られないかもしれない。それでもいいか?」

陽菜はその言葉に迷いながらも、好奇心が勝った。「教えてください。」と、彼女は答えた。

老人は静かに本を閉じた。そして、陽菜の手を取り、一緒に図書館の奥へと歩き出した。そこには無数の本が並んでいたが、そのすべてが、現実とは異なる次元の物語を綴っていた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?