ホルモンに支配される日々
自分が自分ではないように感じることは、ないだろうか?
イライラしたり、落ち込んだり、急激に太り始めたり。
自分以外の何かにコントロールされている感覚。
1か月のうち1週間くらい、私はそんな感じだ。
PMSをご存知だろうか?
月経前症候群(premenstrual syndrome)と言って、生理前に現れるこころや体の不調のことだ。
はっきりとした原因はわかっていないが、女性ホルモンの変動が関係しているらしい。
身体的な症状としては、頭痛やむくみ、腰痛などがあり、精神的な症状としてはイライラしたり、異様な眠気に襲われたり、不安になったりということがある。
PMSという言葉は知らなかったが、高校生くらいの頃から症状はあった。
前の日によく寝ていたのに授業中に眠くなったり、足がとんでもなくむくんだりした。
理由はわからなかったが、生理がくると症状が改善された。
大学生になったあたりで、PMSという言葉を知った。それと同時に生理前に情緒不安定になるのも、PMSの一種ということもわかった。
生理前の私は落ち込み、荒れ果てている。
今まであった悲しいことや、不安に思っていることが、心に押し寄せてくる。
夜眠る前、どんよりした暗い気持ちに支配される。
この先も今の仕事を続けられるのか、結婚して子どもを持つことはできるのだろうか、と考えてしまう。
不思議なくらい明るい将来を思い描くことができず、負のループに陥る。
「この先、生きていたっていいことなんてないんじゃない?」
真っ暗な天井を眺めていると、勝手に涙が溢れてくる。
生理前の異様な眠さも辛い。
学生の頃は諦めて、授業中だろうがなんだろうが寝ていた。
でも、今は社会人だ。
諦めるわけにはいかない。
どんなに頑張っても、生理前は鉛のように体が重くなり、睡魔に襲われる。
どうしようもなく眠くて、頭がガクッとなりそうなところを堪えて、立ち上がり、コーヒーを買う。
「頭がすっきりしますように。」と念じながら、がぶ飲みするが、あまり効果はない。
また、体がだるくなり、頭にもやがかかったような状態になる。
ネットで知ったことだけれど、生理前は睡眠薬を飲んだのと同じくらいの眠気に襲われるらしい。
睡眠薬を無理やり飲まされたような状態なのだ。
仕事なんてできるわけがないじゃない、と思う。
正直、生理のときよりこういう時を休暇にしたい。
些細なことでイライラする。
「そんなこと私に聞いてこないでよ。」
「知らんがな。」
と、ちょっとしたことを聞かれたり、どうでもいい話を聞いた時、異様に腹が立つ。
普段はそこまで沸点は低くないのに、心の中ではブチギレている。
自分でもこんなはずじゃないのにと思う。
他にも、顔(特に顎周り)にぷつぷつとニキビができたり、むくみすぎて体重が増えたり体にも良くない影響が現れる。
しかし、そんな症状も生理が来るとぴたっとおさまる。
肌はぴかぴかしてきて、足のむくみがすっきりする。気分は晴れやかに、ポジティブになり、あれはなんだったのという気持ちになる。
一生で分泌される女性ホルモンの量は、ティースプーン1杯分だそうだ。
そんなちょっとしたものに、心も体も振り回されている。
人体の面白さを感じなくもないが、暴れ方はもう少し控えめにお願いしたい。