つらいときは少林サッカーをご覧
元気になるから。
好きな映画を聞かれたとき、私はだいたい少林サッカーと答えている。
映画好きからはマウントを取られ、そうでない人からも「こいつウケを狙って…」と思われる。
しかし少林サッカーは王道エンターテインメントだ。
友情、努力、勝利、恋、ミュージカル、バトル、カタルシス、すべてが詰まった最高てんこ盛り欲張りセットだ。
「少林拳を広めたい!」というシンの真っ直ぐなキチ◯イ思想が軸にあり、サッカーは手段に過ぎない。
少林拳を広めるためには歌だ!でもだめだった。
サッカーをやろう!でも兄さんたちは来てくれない。
兄さんたちが来た!でも弱い。
兄さんたちの復活だ!でもデビルチームに敵わない。
細かくカタルシスを作っていく。シンはポジティブキチガイなので話の軸はまったくブレない。安心して見ていられる。
さらにわかりやすい演技、映像表現。
ボロ靴を表現するのに汚すだけでは飽き足らず穴まで空けまくる。
しかしこの靴が最後に活きたりしてくる。
その他のギャグも後の展開に繋がっていく無駄のなさ。軸に肉付けをしている感じがして気持ちいい。
とにかくテンポがよく、無駄を削ろうという気概を感じる。職人技だ。
昨日は仕事が嫌になったので少林サッカーを見ながら酒を飲んだ。
職人技を見て癒やされる。全員が同じビジョンを見ている現場なんだろうなと。素晴らしい仕事で泣けてくる。
一周目が終わったので二周目。
日本語字幕を付けながら日本語吹き替えを見る。
少林サッカーは日本語吹き替えが本当に素晴らしい。言い回しやローカライズが丁寧に練られている感じがする。
いい仕事は連鎖していい仕事を生むのだと感じる。
こうやって映画を見て、「嫌な仕事」の溜飲を下げる自分に嫌気が差す。
逃避行動に過ぎず、明日からまた仕事をやるよう気持ちを整えているからだ。
これが生活を続けていくことなのか。
少林サッカーのあとに作られたカンフーハッスルは私はあまり好きではない。
ハリウッド資本。
「派手なカンフー絵面をつくる」という、それがウケるんでしょ?というコケさせるのが怖い意志を感じる。
少林サッカーのようなブレないキチガイ思想はなく、派手な絵面を作るための台本になっている。少林サッカーは少林拳のために人々が動いていたが、カンフーハッスルは派手な絵面のために人々が動いている。
大きな金、膨大な人々が関わる仕事は難しい。
惑わされ、軸がブレてしまう。
私も強さを持ちたいし、ブレない仕事に多く関わっていきたい。