中年の希望の星「伊能忠敬」は日本を測りたいわけじゃなかった⁉
子ども用に図書館で借りてきた歴史マンガ。
「50を過ぎてから日本各地を旅して地図を作った人」というのは漠然と知っていたけれど、いろんな意味で思ってたのと違った。
想像:幕府の役人で、測量の仕事を任された。
実際:地主階級で商家に婿入り。隠居してから上京して日本地図を作る。
学問のために隠居を願い出るも有能であるがために認められず。3年かかってようやく息子に家督を譲り隠居。
隠居してから江戸に出て、伝手を頼りまくって14才も年下の学者に頼み込んで師事。
緯度を計測したいという自分の研究目的のために、当時の幕府が必要としていた日本地図の作成を口実にして、各所に根回しして測量の旅の許可を得たのだそう。そして費用はほぼ自腹という…
領地の経営力に、学者としての能力、根回しの政治力、いろいろと凄すぎる。
この方の人生、最初から最後まで驚きだらけなんだけれど、一番驚いたのが、ご本人の興味は日本地図ではなく天文学だったこと。
伊能忠敬さんが測りたかったのは日本ではなく天文だったわけだ。
江戸時代は本当に不思議だ。
ガッチガチの封建身分制のイメージなのに、伊能忠敬や葛飾北斎、安井算哲のように、自由人のようありながら歴史に名を遺す偉人がたくさん現れている。
生まれながらの武士階級ではないという点が共通していて、枠組みから外れているが故に、身体も思考も自由でいられたのかもしれない。
そして幕府の要人たちもその自由さと才能を許容あるいは利用し、陰ながらパトロンになっているのも何ともおもしろい。
それにしても江戸時代の50といえば現代の70くらいの感覚だろうか。
今のように便利になっている世の中と言えども、50から夢に全振りできる人が果たして何人いるだろうか。
小さい字が読みづらいなぁなどとボヤいている場合じゃない。
伊能忠敬を見習って、日本全国はムリでも毎日歩く距離を増やそうと思った。