「特撮」と「アニメ」が「2クール」だった時代
さて、私のnote はTV番組の「1クール」についての解説から始まった訳ですが、特撮やアニメに代表される子供番組はTV局と制作会社が2クールの制作契約を結ぶのが一般的だった時代があります。
日本の経済発展に伴い、子供たちの遊びの幅が広がると、制作会社はオモチャを始めとするキャラクター商品の著作権収入によって、制作費の赤字を補填しようとする動きが活発になりました。
オモチャを買う時は子供たち自身より財布を握っている大人(親世代)の方が主導権を握っています。オモチャ売り場で
「うちの子が〇〇、〇〇って騒いでるのはこれかぁ」
と、無許可のパチモン商品ではなく、「本物」を(ここ重要。パチモンを買ってこられた子供のガッカリ具合は半端ないのです)間違いなく買えるように社会的な認知度を上げるには、些かのタイムラグが必要です。番組の放映期間そのものが宣伝期間を兼ねることになります。ここから、子供番組は取りあえず2クール放映して、評判が良ければもう2クール延長し、一年間(4クール:52話)完走する、という慣習が生まれたのです。
昭和の特撮やアニメが、放映当時にどのような評価をされたかについて調べる際、4クールだったら「大成功」でメジャー作品、2クールなら関係者にとって「うま味」が少ない(宣伝期間が短い)マイナー作品、1クールしかなければ一部の「濃い」マニアだけが知っているカルト作品(リアルタイムで見ていた筈の世代でも覚えていない)、という基準が採用できるのではないか(苦笑)と思います。
余談ですが、1971年に放送された「ガッツジュン」(宣弘社プロダクション:全33話)は、高校野球を題材にした漫画原作の学園スポーツドラマで、魔球の「レインボール」を光学合成で表現する等、前年の「柔道一直線」(東映東京テレビプロ:全93話)と同じく、特撮風味の演出が行われていました。
「ガッツジュン」の1話あたりの制作費は、「魔法使いサリー」(東映動画=現・東映アニメーション)とほぼ同じという情報を掴んだ東映は、アニメの方がキャラクター商品の著作権収入が多く見込めるので、TVアニメの制作に注力するようになった、という逸話があります。商業主義が良くない、というつもりはありませんが、子供向けの実写ドラマが80年代の「あばれはっちゃく」を最後に見なくなったのは少し寂しいような気がしました。