見出し画像

たまに短歌 燕発つ

野分前燕は無事に巣立ちけり
暑さや地震心揺らして

のわきまえ つばめはぶじに すだちけり
あつさやじしん こころゆらして

毎年駅前の集合住宅の1階店舗軒下に営巣する燕が、台風が接近するという日の前日に巣立って行った。一組目が巣立った7月上旬にやってきて、一組目と同じ巣で営巣を始めたので、最初は一組目のなかで置いてきぼりをくった個体が戻って来たのかと思った。しかし、その後も立ち去らず、そのうち雛の声が聞こえてきた。燕の巣立ちは例年梅雨入りの前なので、今年は一組目から既にやけに遅い。燕は飛翔中の昆虫しか食べないらしいので、虫のほうの生活に何事か大きな変化があったのかもしれない。

燕の雛は巣立ったものとして、通勤の電車の中で歌を拵えたのだが、帰りに巣を見上げたら雛はまだいた。なにやってんだ、まったく。一組目は雛が6羽いたのだが、今いる組は3羽。時期を外したので餌が思うように集められなくて、育った雛が少なくなったのかもしれない。それにしても、もう十分でかいだろう。甘やかすとロクなことにはならないぞ。とっとと巣立たせろ、と親鳥に言ってやりたかったのだが、親の姿は見えなかった。

燕の営巣の異常と関係あるのかないのか知らないが、南海トラフといい、例年になく早い時期に立て続けに東日本にやってくる台風といい、今年は何か不穏な感じが漂っている、気がする。

燕の餌に因んでというわけではないのだが、たまたま今、昆虫についての本を読んでいる。私が読むものにしては厚く、毎日就寝前に数ページしか進捗しないので、いつになったら読了するのか見当がつかない。だが、既に付箋だらけなので、その本のことはここに書くと思う。それにしても、明日は電車が動くのだろうか。

読んでいただくことが何よりのサポートです。よろしくお願いいたします。