見出し画像

たまに短歌 そんなふうに見てたんだ

あのひとがあの日あのとき見つめてた
知らないけれど知っているひと

あのひとが あのひあのとき みつめてた
しらないけれど しつているひと

日曜日にポール・マッカートニー写真展を観てきた。ポールを写した写真ではなく、ポールが写した写真だ。1963-65年頃のものだそうだ。順路の始めから七割くらいが白黒で後がカラー。カラーで写っているのはマイアミで撮影されたもの。空や海はカラーがいい。

写っている人たちや風景は自分からは遠い世界のものだが、同じ日の同じ時間の空気を遠く離れた日本のどこかで確かに私も呼吸していた。当時、ビートルズは既に世界的に大人気で、会場に展示されている写真は移動中の車や飛行機の中で撮影したものや、楽屋のような場所が多い。それだけ自由に行動することができなかったということでもあるが、制約があればこその視点の面白さもある。そういう意味では幼児期の自分にも面白い何かがあったはずなのだが、、、覚えてないなぁ。

ビートルズが最後にレコーディングしたとされる『Abbey Road』が発売されたのは1969年。私は小学一年生だった。さすがに、まだその頃はビートルズのビの字も知らない。中学生のときに、来日十周年記念で世間が盛り上がっていたこともあり、外国の文物に興味を持つ年頃だったこともあり、小遣いを貯めてはレコードを買うようになった。

多感な時期に遭遇したものである所為なのか、以来現在に至るまでビートルズだけは自分に親しいものとして在る。不思議なもので、音楽一般に対する興味は薄い。人並みに、リアルタイムで流行っていたバンドも聴いたし、レコードのジャケットに魅せられてジャズを一生懸命聴いた時期もあったし、クラッシックのコンサートにもだいぶ通った。楽器を演奏できる人をカッコいいと感じるし、自分でもやってみようと思ったこともあった。しかし、今は自分にはその才はないと認識している。

社会人になる直前にインドへ向かう飛行機で知り合った人に勧められ、タブラーというインドの太鼓を習ってみたことがある。打楽器なら楽譜を読めなくても大丈夫だろうと思ったのである。どうやら、そういうことではないらしいということは始めてすぐにわかったのだが、念の為、半年ほど吉祥寺の駅前の古いマンションの一室に通ってはみた。楽譜が読めないということなら、美空ひばりも一部の著名ジャズミュージシャンも私と同じだが、音楽の才となると同じではない。

そんなこんなで、今は音楽とはすっかり疎遠になった。それでもどういうわけかビートルズだけは全巻揃いのCDボックスとか、得体の知れない海賊版CDとか、ジョージ・ハリソンの追悼CD・DVDボックスとか、映画のDVDとか、後生大事に持っている。持っているけど、聴いたり観たりするわけではない。そして、こんなふうに関連イベントを小耳にはさむと、ひょこひょこと出かけていく。

若い頃、リヴァプールに行ったこともある。老朽化と地下鉄工事で一旦取り壊されて、その後再建されたCavern Club、Penny Laneという通り(ただの通り)、Strawberry Fieldの跡地(門柱だけ残っていた)、ジョンが最初の結婚で結婚届を提出した役所の出張所跡、Albert Dockにあったビートルズ博物館などなど、ただ一人で徘徊した。それがとても楽しかった。

それで、今回の写真展に並ぶ写真の撮影に使われたものと同型のカメラの実機も展示されていた。ペンタックスSVでレンズはペンタックスAuto-Takumar 55mm F2。展示機はブラックだが、ポールが使っていたのはシルバーのほうだ。来月、銀座で中古カメラ展があるので、見つけたら、買っちゃおうかな。

こんなに綺麗なやつじゃなくていいんだけどね、あったらいいな
Cavern - 撮影日:1990年7月3日
ニコンのピカソというコンパクトカメラで撮影
フィルムは現地調達なので、たぶんコダック
Anglican Cathedral - ポールが幼い頃、ここの聖歌隊に応募したが審査の結果、不合格だった、らしい。
撮影日:1990年7月3日
ニコンのピカソで撮影
Strawberry Field跡地に残る門柱 - 絵葉書
リヴァプールで買ったと思うが、あるいはマンチェスター大学のステューデント・ユニオンだったかもしれない
これも絵葉書

いいなと思ったら応援しよう!

熊本熊
読んでいただくことが何よりのサポートです。よろしくお願いいたします。