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「築50年位の貸家と僕」その3

僕は貸家に入って初めての冬をなんとか越した…本当になんとかだった。
まず 寒すぎる。
いや、寒すぎるだろう。
暖房がある部屋はなんとか 暖かいがそれ以外の部屋に移動するたびに ガチガチと体が震えた。
窓という窓には「プチプチ」を貼ったが 
意味を果たしてるのかがわからない。
玄関は内側が凍りつくし、水洗トイレも何度か凍った…一番は 浴室。床がコンクリート剥き出しのためだろう、かなり冷える。
浴室に置いた洗濯機のホースが凍る…。
入浴するのも一種の修行のよう。
せっかく湯船で温まっても 浴室から出れば
冷気が襲う… 秒速で体を拭いて 着替えねばならない…。
この貸家に来てから お風呂で ゆっくりなんて素敵な事は一度もなかった。

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