幸せの形をしたもの
日だまりの太った野良猫は
幸せの形をしている。
勤め先の近所でよく会う黒猫。
この辺りを「営業」して暮らしてるらしく、野良猫だけどものすごく太ってる。
1回抱っこしたけど10㎏近くある予感。
やり手だ。
朝、彼のお腹をモフモフしてから出勤できた時も嬉しいけど、
彼が他の人(特におっさん)にモフモフされてるのを見たときも嬉しい。
その日1日の幸福が、約束された気分になる。
外は危険がいっぱいで、
世の中には猫が嫌いな人もいて、
都会では完全室内飼いが常識なのも分かるけど、
こんな風に、
みんなに愛され、外の風にあたり、
お日様を浴び、
着々と肥えていく彼を見てると
「これが猫だよなぁ」とも思う。
ある日突然会えなくなる。
そういう可能性があることもうっすらと感じながら、だけど今は知らないふりをして。
一心不乱にモフモフしてると
「今、この一瞬」がとてもとても愛しくなる。
あぁ、なんだか小沢健二の歌みたいだね。
『本当はわかってる
二度と戻らない美しい日にいると』
日だまりの太った野良猫は、
やっぱり幸せの形をしているなぁ。