江の島でイカした後
こちらのおまけのようなもの
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「太田君、今日の湘南・江の島楽しかったね」
「寝過ごしたときにはどうしようかと思ったよ。木島ちゃんごめんね」
太田健太と木島優花は、江の島を夕暮れまで楽しんでいた。そして今は島を離れ、島全体を眺めるビーチを散歩していた。
「でも、びっくりしたよ。突然木島ちゃんが、見知らぬおじさんに道聞くし」と健太は苦笑い。
「だって、時間これ以上無駄にしたくなかったから。あの人たちどう考えても悪い人っぽくなかったから」
優花も笑顔で答える。
「でも、あの人たちって変わってたなあ。突然短歌なんか披露するし」
「そうね。まあ私たちもイカしちゃったけど。そしたらあのふたり楽しそうで良かった」
「それに弥次さん喜多さんって言ってなかったか? それって、まるで江戸時代の旅人の名前じゃん」
「格好も年取った方が時代劇っぽい格好してたわ。時代劇のコスプレイヤーかしら」
優花の答えに納得せず、首を横に振る健太。
「イヤイヤイヤそれだったら、中途半端だな。やるんだったら髪もまげを結わないと。あと刀を差すとか」「うふふ、でもああいうのを言うのね。一期一会って」
優花は海岸線のかなた江の島の方に視線を送る。
「うん、一度きりの出会いかあ。あのふたりは、もう江の島から離れたかな」
「でも、太田君とは、これからも一緒にいたい気がするわ」
「え?なに一緒にって」
すると顔を赤らめて顔を手で隠す優花。
「いや、あ、それは秘密。それより、あれ夕日キレイよ」
「ああ、本当だ。早起きしてここまで来て良かった」と、夕暮れの江ノ島を眺めるふたりであった。