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「#旅のようなお出かけ」企画に参加してくれた、motohiro/愛をひろげる さんの「黒猫さんと星見の山」を読んだ感想。

 先日リアルなお出かけをしたこともあり、こちらの感想記事が遅れ気味になっていますが、こういう企画をしながら、そんなお出かけをすると、それまでとは違った気分で味わえますから不思議です。

 さて第19弾はmotohiro/愛をひろげるさんの「黒猫さんと星見の山」です。苦労しながら山を登って見えた絶景。ファンタジーの要素を色濃く持っている物語です。

1.カフェを早じまい

 舞台は架空の森の中。motohiroさんが、黒猫さんと一緒に経営している小さなカフェでの一幕です。このカフェでは以前メニューを募集していたので、私も参加させていただきました。そのこともあり、その続編という感じなので、それだけでも心地よいですね。
 この日はどういうわけか早じまい。はっきりした理由はわかりませんが、気持ちの上でのそういう「モード」が出たのでしょう。
 小さなあたたかいカフェは、利益を上げるのが最大目的のために、どうしても少しギスギスした雰囲気があるチェーン店とは違うもの。
「ときには早じまいだっていいじゃないか」こういう緩い面がまた素敵です。

2.山へのお出かけは体力勝負

 早じまいの目的は、山の上から見える星を眺めることでした。のんびりしているとはいえカフェは飲食店。やはり営業の前後には準備があり、後片付けがあります。だから森の周辺にある楽しい場所に行く機会も意外にないもの。でもでもこのときは、あえてそんな森からのある「お出かけ」をしたかったのです。

 motohiroさんは星見の山という、森を抜けた先にある山に行くことにしました。その山は「星見の山」。ところが普段そんなに山道を登るといったことをしていない。たとえ緩い坂だったとしても、同行した黒猫さんに疲労がたまります。
 最初は星が見えると、乗り気だった黒猫さん。リアルに足が疲れてくると楽しみから苦痛。そして不満にが募ります。

「こんなことなら、星を見たい、なんて、言わなきゃ良かった」

 思わず漏らす本音。山道は足場も悪いですから大変です。motohiroさんはなだめますが、このときに気づきました。もう季節が秋になってきていると。
 でも山登りで疲労と熱さはピーク。とはいえ、確実に登って行ったからでしょうか?ついに頂上が見えて、ご機嫌斜めの黒猫さんのテンションが変わります。

3.山頂についてみたもの

 こうして山頂に無事についたふたりは、山頂にあるイスとテーブルに一休み。つっぷする黒猫さんの疲労も相当なもののようですね。さてこの山はどのくらいの高さなんでしょうか? 木の高さが森のものと比べて低くなっているということなので、少なくともそれなりの高さがありそうです。木が生い茂るカフェの周辺とは大違い。そうかだから苦労して登らないと、しっかりと星が見えないのか。疲れながらも納得します。

 さあ、見るといよいよ夜には星空が光り輝いています。しっぱりとした光を放つ惑星群、その間に少しちらつかせながら大小存在する恒星系。その美しさは空に吸い込まれるようなほど。
 これわかります。本当に夜空のきれいなところだと、ふつう見えない煙状の星雲のようなものが無秩序に混ざり合い、いろんな明るさで表現されています。見つめているとより暗い存在を見ようとするためか、吸い込まれそうな気持ちになるものです。
 いつしかふたりは、来た時の山道の苦労を忘れて感動の渦に巻き込まれてしまいました。

4.コーヒー片手に語る将来像

 motohiroさんは、手ぶらで山を登ったのではありません。キャンプ道具を用意するとその場でコーヒーを入れるためにお湯を沸かします。さすがにカフェの運営者。手際よく作業が続き、カフェでも聞くようなお湯の湧き上がる音ひとつにとっても、不思議な心地よさ。

 さあ、コーヒーが沸いたので改めて味わいます。そのコーヒーの旨さはいかほどのものか。大自然に舞う、満天の星空という強力な隠し味が物理的なコーヒーの味覚をより引き立てているのでしょう。

 ここで、黒猫さんは意外な質問をします。カフェの将来について。黒猫さんはどんなカフェの将来像を描いていたのか?
 でもmotohiroさんの答えはブレることなく決まっていました。SNSなどネットもあるご時世。もし口コミが評判をうみ、このカフェに多くのお客さんが殺到するかも。やりようによっては、2号店とかチェーン展開もありうるのかもしれない。
 でもそうではない。今のような気軽な小さなカフェ。好きなときに来て帰る居心地の良い空間。その精神だけは忘れてはならないと、口にしながら改めて思った。
 そしてさらにうれしかったことは、黒猫さんの思いと同じだったこと。それを確認して改めて飲むコーヒーは、先ほどは違ったうまみが加わったのでした。

 

5.もし私がこの小説書いたら?

 そうですね。前の日に私も簡単な山登りのようなことをしたから、余計にそう感じたのかもしれませんが、登っている途中の情景をもう少し加えるかもしれません。(そのほうが頂上に着いたときの感動が良いから)

たとえば「道は舗装されていないが、緩くて上りやすい。一歩ずつ歩くたびに森の中とは違った光景が視線にひっかかってくる。よく見れば咲く花や草木も違っていた。と言ってたら途中に勾配が急になっているところがある。手で木の枝をつかみ、むき出しになっている石にあしをかけて前かがみにして上った。ここでmotohiroは先に上り、両手を差し出して黒猫さんをサポートする」
あるいは
「沢が流れているところがあった。このせせらぎの流れは心地よい。このころには黒猫さんだけでなくmotohiroにとっても少しの疲労が蓄積されていたからその音を聞いて少し元気になった。しかしあと一息。確かこの沢を渡って、先の道を少し登れば頂上だったはず」
とか入れてみるかもしれません。

まとめ

 もちろん、この記事を書くためではありませんが、奇しくも昨日のお出かけ手ほんの少し山道に入って滝を見る機会がありました。普段山登りとかあまり体を使わないので、足場を気にしたり、軽い登りでも少し息切れぎみでしたが、どうにか到着してみる滝の姿と延々と聞こえる音色は格別でした。
 星と滝の違いはあるとはいえ、苦労して登った後の喜びは近いかもしれません。できれば私もそこにコーヒーのセットを持ってきて味わえばよかったと、今更ながらに後悔してしまいました。それにしても読んだ後も心地よい作品。ファンタジーの世界はいいですね。


おまけ:今週はクラッカーはありませんでしたが、トロフィーはもらえました。いつも応援ありがとうございます。

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※こちらの企画、10月10日まで募集しています。
(エントリー不要!飛び入り大歓迎!! 興味ありましたら是非)


#旅のようなお出かけ #感想 #motohiroさん #黒猫さんと星見の山 #読書感想文  


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