「#旅のようなお出かけ」企画に参加してくれたペンギンさんの「花より団子」を読んだ感想。
今回は小説の「企画」ですが、普段小説やエッセイを書いている人でない人にも多く参加してほしいと思っていました。今回紹介するペンギンさんは、小説やエッセイよりも詩とか自由律俳句といったものを中心に発表している方。今回は小説にチャレンジしてくださいました。
ということで、第2弾は、ペンギンさんの「花より団子」です。
1、自転車はお出かけ最強の相棒
この作品で登場する旅のツールは「自転車」です。車やバスなどの公共交通ほど早くなく、しかし歩くより早く距離が出せる自転車。自転車でも本格的な専用のヘルメットやウェアーを来て、レースや長距離走行するもの。あるいはママチャリと呼ばれる一番気軽に乗れるものまでいろいろあると思いますが、ここでは恐らく後者でしょう。
通勤・通学あるいは別の目的か、ある目的地に向かうために乗る自転車を「相棒」と呼び、毎日この相棒と移動します。ところが目的地が同じだからルートも同じ。ここに例のアレ(私はアイツとよんでいる半生命体)で気持ちが萎えているという、すごく現実的なことなので余計に気持ちが通じます。
2、少しルートを変えるだけで広がる世界
ところが主人公はここであることをひらめいたようで、急にやる気が起きました。「ルートを変える」ということで気分転換と、遠出できなくても楽しめる方法を思いつきました。これはこの企画のテーマそのもののですね。ルートはGoogleマップのアプリで調べることもできますが、ここではそれをせず道を開拓して移動するといいます。行ってみてのお楽しみとは、まさしく旅の醍醐味です。
3、さりげなく季節を感じるキーワード
ここで、「おおっ」と感じた記述がありました。
長袖パーカーでちょうど良い気温
この文章を見るとある程度この物語の季節が、絞られたのかな思ったのです。人それぞれの個人差がありますが、普通に考えて長袖パーカーを真夏には着ないと思います。そのほかの季節、真冬でもちょっと寒い?となれば秋か春。この後の花の話が出るとやっぱり、春が近いのかなと、読みながらいろいろ想像をかきたててくれます。私はどうしても季節を直接強調することが多いので、こういう別の言葉で、読む人を連想できるようなやり方は、すごく参考になりました。自由律俳句とかを詠まれる人だから「季語」のような物を使い慣れておられるのでしょう。
4、幻想的な花畑の余韻と現実的な食欲の魔力
快適にそして探究心を失うことなく自転車をこいでいくと、広大な土地に見つけた花畑。主人公が思い浮かべる物語(それも文学性の高いものと大衆的なアニメマンガの両方を出しているのが面白い)。
そんな幻想的な気持ちに浸ると突然、嗅覚が現実に引き戻してくれます。それはバーベキュー。これは強烈ですね。臭いで急激に食欲がわく魔物。この一言で、バーベキューの旨そうな臭いがイメージで来ます。幸いにも食後にこの作品を読んだので、私には食欲が注がれなかったのが幸いです。
そしてタイトルの「花より団子」正しく現実的な食欲の前に幻想的な美しいものが敗れ去った瞬間。この後食べる物に思いをはせながら漕ぐペダルもたくましく、プチトリップを応援してくれるような終り方です。
5、もし私がこの小説書いたら?
詩やポエルムのような作品は、私はあまり書けないタイプなので。自分で書くのは大変ではという気がしています。それでもしいて言えば、最後の食べ物のくだりで、団子屋を登場させてしまうくらいでしょうか? 目の前に初めて見る団子屋を見つけて思わず中に入り、みたらし団子が大福餅かわかりませんが、それをパックに詰めてもらう。お金を払ったら自転車の前かごに乗せて「後で食べよう」みたいなのを付け加えるかもしれません。
(これ良し悪しではなく、私が書くならです)
まとめ
300字以上という条件だからと600字強の小説で書いてくださいました。私は300字以内の小説を月一回。それからツイッターへの投稿ですが、140字やら54字といった非常に短い小説も書くことがあります。しかし短すぎる小説は結構難しいといつも感じることも。濾してこの作品は600字と限られた文字数で、ストーリと全体の情景などが見事に表現されていました。そして自転車を使ったお出かけを、見事に旅に仕立て上げられています。
私は、詩とポエムはほとんど書きませんが、この作品を読んでいると、ふと短い中に情景をうまく表現できる詩をまた書いてみたくなりました。
おまけ:いつもありがとうございます。
※事前エントリ不要! 飛び入りも歓迎します。
10月10日までまだまだ募集しております。(優劣決めませんので、小説を書いたことが無い人もぜひ)
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