大学時代好きな人が居た。片想いであった。
私は大学時代中に休学を一年入れいたので、彼女や同期たちとは一緒には卒業せずに、もう一年大学生をしていた。
なので、彼女は先に社会人になっていた。
社会の中で生きてた彼女と、
大学最後の一年を走り切ろうとしていた私。
私たちには断崖の価値観が横たわって居たのだろう。
卒業も近い冬頃に、遠く彼女が働く場所へ
私は一度会いに行った。
その日、大学の頃のようにいつまでも話をした。
私は、彼女の元々の感性の豊かさに感服し、嫉妬し、自分では何も分かる事はできないなと悟った。
それでも、一緒に在りたいと願った。
彼女は、でも、私では無いと答えた。
翌朝、大学までの2時間ほど帰路を
彼女の車で送って貰った。
私たちは雪道を颯爽と走りながら、スピッツを聴いていた。
朝焼けの光で雪道は橙色を塗り重ね、ややもすると、溶けてなくなりそうな、綺麗な景色であった。
私は窓の外に眼差しを置きながら、この景色に自分を重ねていた。車内には、ちょうど良い距離感の無言の時間が流れていて、二人でそれを享受し合った。
それは、失恋としては悪くない、朝の景色であった。
その朝は今も続いていて、彼女は大切な友人の一人になっている
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