中学生の夏休み、私は何する事もなく寝転んでいた。
蝉が鳴いているのが聞こえた。
部屋の窓からは狭い青空が見えていた。
いつもの、切り取られた青空であった。
その夏、家族旅行で
私は初めて飛行機に乗り、北海道へと向かった。
社会の教科書や、テレビのニュースでは見たことあった。
日差しは、和歌山のそれとは変わらなかったと記憶している。
ツアー旅行であった為、あちこちと北海道を行き来したはずである。移動最終日であった、根室から富良野へ向かうバスは休憩という事で十勝で止まった。
バスから降りると、
手で日差しを作った私の目に
遠くまでまっすぐに伸びた道が飛び込んできた。
そのまま、地平線になるまでのまっすぐである。豊かな牧草が周りを囲っていた。
こんな、絵のような風景があったのかと。
そして、空は私が今まで見た中で一番の広さであった。
この、広い空は
私の憧れになった。
高校生、
私の大学ガイドの本の付箋は
北海道のみとなっている。