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メグレと若い女の死
フランス映画はちょっとアレやしなぁ、カンヌ映画祭は苦手なのよ―
という声をよく聞く。
私は惜しいなぁ、もうひとつ扉がひらくのになぁと感じてしまう。
接客業の私は、できるだけハリウッド映画一辺倒ではなく、欧州やアジアの良作を幅広く観たい、とつねづね思っている。
初対面どおし、映画を通じて会話のきっかけになったり、話がはずんだり、することが良くあるのだから。
たとえば、アイルランドからの旅行者に、映画「インシュリン島の精霊」の主人公二人はどうして仲違いしたのか?と訊ねたところ。
壁があるんだよ、とひとこと。
住民の意識差は日本人の私には難しかったのだが、谷のように深い亀裂がいまだに残っていると想像できた。
また某日、フランス人親子と映画について話するチャンスがあった。
以下、ネタバレを少々ふくむため、未見の方はご注意ください。
メグレと若い女の死
メグレ警部といえば、着古したコートにパイプくゆらしながら難事件を解決する大男のイメージ。
ベルギーの探偵エルキュール・ポアロ、
イングランドのシャーロック・ホームズ、
と並ぶ三大刑事/探偵だ。
今まで何度も映画化されているが、今回はパトリス・ルコント監督×愛しの ジュラール・ドパルデュー !!
実は、期待値を上げ過ぎたのかちょい退屈だった。
良いのは、高貴な方々の衣装や室内装飾、旧式の車など、とくにシルクドレスの質感の滑らかさにうっとり。
そして、殺人事件ではおなじみの鑑識や法医解剖や聞き込み調査も現代とは考えられない旧式だからこそ、仮説をもとに犯人を追い詰めていくところ、ゆっくりじわじわ攻めてくる。
さて、犯人は?その動機は?
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Maigret-and-young-lady-of-death
メグレと若い女の死
2022 フランス
監督・脚本:パトリス・ルコント
出演:GÉRARD DEPARDIEU ジュラール・ドパルデュー
フランス人親子の感想
冒頭の初対面どおしの会話のきっかけのつづき
私 ”今度「メグレ」見るんやけど、評判どないやった?”
息子 ”古い原作やし古い監督やし。興味ないから見ぇへんかった”
父 ”ジュラールは彼自身も大男でメグレ役にはぴったりやったわ”
”けどな、映画がスローすぎてちょっとアカンねん”
たしかに、たしかに。
フランス人父の言う通り、
話の展開も車の走行速度もセリフも
全部ゆっ~~~~~~くり、だった(笑)
ま、パトリス・ルコント監督にスピード感求めるなんて無理よね、きっと。
話は変わるが、
「それでも私は生きていく」の日本公開が
待ち遠しい。
2022年カンヌ映画祭で話題だったレア・セドゥがシングルマザー役
もうちょっと何とかならんかった⁈ レベルのダサダサさ邦題だが、レアちゃんをもとに脚本おこしたらしいから、きっとええ作品のはず。期待大だ!