「ラ・ルナ」東京国際映画祭
第36回 東京国際映画祭 観戦記
「ポトフ」と小津安二郎監督のリストア上映と、この「ラ・ルナ」ワールド・プレミアを観るために。実は,チケット発売時には監督と主演のシャヘイジ―・サムとシャリファ・アマニが来日するはずだったのだ。
さて,シンガポール・マレーシア合作映画は日本で一般公開されるチャンスは少ない…例外的に,ヤスミン・アフマド監督の作品(タレンタイム、オーキッド三部作など)何度も日本のあちこちの映画祭で上映され、ヤスミン監督没後十年たって,“伝説のヤスミン映画”としてようやくミニシアター系で上映されたことがある。だから,日本でマレーシア映画を観たいと思ったら,映画祭に足を運ぶしか方法がない。
今回は過去の大阪アジアン映画祭でマレーシア映画2作品の主役をはっているShaheizy Sam に会いたいため,ドキドキして前から2列(プレス席の次,実質最前列)を獲ったのに、来日キャンセルとなりホンマ惜しかった。
あらすじ
厳格な村長(ワン・ハナフィ・スー)がおさめる田舎の村。
金曜の礼拝をはじめ女性のスカーフ着用など,宗教や古い価値観で女性や若者は押さえつけられていた。警察署長のサイヒム(シャヘイジー・サム)は反抗期の娘をもつシングル・ファーザー。そこへ都会から来たハニー(シャリファ・アマニ)が男子禁制のランジェリー店を開店し,女性たちに歓迎される。
村長はランジェリー店に嫌悪感を抱き,理由をつけて閉店させようと企だてる。サイヒムは最初ハニーを嫌っていたが,女性の居場所を作りたいという彼女の夢にだんだん惹かれはじめた頃, 村にある事件が起こる。
上映後のティーチ・イン
一発撮りするしかなかった火事のシーンは,3時間と予想してたが実際には15分!しかなく,必死の猛スピードでカメラまわしたらしい。
↑ 最前列で挙手した質問に答えてもらった
詳しいティーチインはこちら
マレーシアならではのシーン
マレーシアのドリンク持帰りは「金魚すくいのビニール袋」のようにストローさすのが一般的。 お互いに好意を感じはじめた二人が,ビニール袋の珈琲で星空デートの図。ルナ(月)が後ろで輝いてて,いいシーン。
イスラム教の女性は肌を露出させたり,髪を公衆でさらすのはふしだらとされる。家族(夫や子供)の前ではok また,ベッドシーンや濃厚なキスは風紀を乱すとされ,雑誌や映画では検閲カットされる場合あり。 カップルが愛し合ってる様子はご想像にお任せします…となる。
枯れてた親父がセクシー老妻の真っ赤な下着に燃える姿を,NAM RONナムロンが好演。ヤスミン監督のオーキッド三部作では太っちょのメイド・ヤムおばさんがいたが,本作では主人公ハニーがトラブルを抱えてる女性ヤムのケアをし,互いに支え合う関係性が描かれる。終盤,ヤスミン監督の”細い目” と同じセリフも登場。オマージュかと思われる
シンガポール-マレーシアでの予告編
感想と雑感
現代ではこんなにキツい村はそうそうないと思うが,イスラム教徒にせよ,そのほかの神様にせよ,宗教感は個人にとってさまざま。スカーフを巻かないヘアスタイル,スカートで脚を出すファッションなどもアリだと思う。
最悪なのは女性だから…の性差で何かを諦めなくてはいけないこと。ライヒン監督がシャリファ・アマニを愛称で呼ぶほど仲良く「彼女は映画の反逆者だから」と言っていたのは,ヤスミン監督同様シャリファ・アマニも,既成の価値観の殻を破ることを私たちに伝えてきたから。
「ラ・ルナ」は女性に勇気を与えてくれる映画。11月9日公開
おんなたちよ、もっと前へ。
おまけ
シャヘイジー・サムの大阪アジアン映画祭上映作
#10月これやる宣言
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