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読書録

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ミステリが好き! 自分の読後録と,心に刺さった読書感想をあつめています。三年半かけて「芥川賞ぜんぶ読む」,ひと月一冊は読んでるものの文字おこしが遅々として進まず...。
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2024年4月の記事一覧

ボケなのかマジなのか。のっけからヘン。マグロと恋愛した夢をみた..とはじまるのだから。電話でそそのかされ「うーみーしーばーうらっ」まで電車で出かけていく私。ブレードランナー×沖縄が三重県のコンビナートにつながる不思議。最後までキレよく痛快だった 第111回 芥川賞 39/113

きれぎれ、陰の棲みか 芥川賞ぜんぶ

ちょっと大阪もんが読みたくなり、図書館で検索したら、二〇世紀末の芥川賞:122回と123回の受賞者がまさに大阪出身の作者だった。 きれぎれ 投身自⚫︎ の幻影からはじまり、焼そばをケダモノのような格好で食うランパブ出身の妻、画家の友人への妬み、事故死の友人への憐憫など、腐敗と劣等感と嫉妬と軽蔑にまみれた 俺いや僕の、破天荒な日常がヘドロのようにあふれ出た文章。 あーあ。もう。めんどくさいわね。むかつくぅ。おうやるのか、こら。うるせぇんだよ。きぃー。わぁやめろやめろ。うわっ

猛スピードで母は : 芥川賞ぜんぶ

クモガタ・サダノリって知ってる? 20代の頃、使い道が謎だったクモガタ・サダノリこと『雲形定規』。彼の存在をすっかり忘れてたが、この小説中に二度も登場し、しかも1度目は主人公が私と同じく、変な形、何に使うものだろうと不思議がっていた。 サダノリ、元気だった? 彼の名を思い出させてくれて、ありがとう。 ※以下ネタバレを含むため、未読の方はご注意ください。 結婚するかもしれない、と慎に告げたのは、自力でタイヤ交換できるし、車は猛スピードでかっ飛ばす、むかし漫画家を目指した、シ

家族は痛い。聞かれたくも触れられたくもない。一方,汚れたアカをほじくり出して臭いごと差出してみたり。崩壊家族が映画撮影に再会するが,それぞれ役割を演じる中, チクリと刺さった棘がぬけない,そんな物語。 私的な断片さらけ出す著者,苦手だが避けられない。116回 芥川賞 41/113

大学サークルの先輩と草むしりをしながら,とりとめないよもやま話。30代男女の再会だが,どきどき展開はなく,哲学やイルカ知能についてビール片手に語り合う。いいなぁこんな関係。たった数時間の濃密な時間,なんでもない日常こそ貴重なんだな。133回 40/113冊 #この人の閾(いき