うわうわうつわ
昨年の事ですが、いつも私が大変お世話になっているれおさんというnoterさんが立ち上げたnote-bookという企画に僭越ながら参加させて頂きました。
「思い出と本をつくろう」という想いから生まれたこの本。
私もたまに思いだしてみては、ひょいと本棚からこの本を引っ張り出してきて、ペラペラとページをめくらせてもらっています。(現在はれおさんの記事で無料公開されています。ご興味がありましたら、皆さんの素敵な記事が掲載されていますのでご覧ください。)
私はそこに自分の記事を載せて頂きました。
当初はサポートはさせてもらったものの、自分の記事を載せることなんて全く考えていませんでした。
しかし、結果的には掲載して頂くことになり、選ぶに至ってもいろいろな出来事もありまして
「これは私にとって何かの縁がこの記事にはあるんだな」
とただただ、何をするでもなく、心の中に静かに存在させていたんです。
この記事は私が昨年40歳になった日の事を書いているのですが、後半は自分自身をうつわに例えて比喩的に書いている箇所があります。詩的な表現はこの記事にもでてきた「パターソン」という映画にもこの時は影響されていたのだと思います。
それで時を経て
今
うわうわうわ!
となっています。
なので「うわうわうつわ」です。タイトルに深い意味はないのです。
ちょっとおちゃらけている感じにしないとなんだか落ち着かないのです。
最近ですね、ある方に「あなたを見ていると神谷美恵子さんを思い出す」と言われました。
神谷美恵子さんを存ぜぬ無知な私は、ひとまず自分の好きな「NHKテキスト 100分de名著シリーズ」の「神谷恵美子 生きがいについて」という本を購入して読んでいました。
神谷 美恵子は、日本の精神科医。哲学書・文学書の翻訳やエッセイの著者としても知られる。 「戦時中の東大病院精神科を支えた3人の医師の内の一人」、「戦後にGHQと文部省の折衝を一手に引き受けていた」、「美智子皇后の相談役」などの逸話でも知られる。 (Wikipediaより)
1957年に国立ハンセン病療養所で精神医学的調査を行い、同じ条件下にいても生きる意味を見失って悩んでいる人と、生きる喜びにあふれている人を目にして、その違いは何か、人間の生きる意味はどこにあるのかを様々な角度から考察した人である。(上記の100de名著より抜粋)
すごい人だな、おもしろいなと思って読み進めていたら、本の中盤で彼女の詩に出会いました。
それでうわうわうわ!です。
ひとまずここに詩を載せます。
「うつわの歌」
私はうつわよ、
愛をうけるための。
うつわはまるで腐れ木よ、
いつこわれるかわからない。
でも愛はいのちの水よ、
みくにの泉なのだから。
あとからあとから湧き出てて、
つきることもない。
うつわはじっとしてるの、
動いたら逸れちゃうもの。
ただ口を天に向けてれば、
流れ込まない筈はない。
愛は降りつづけるのよ、
時には春雨のように
時には夕立のように。
どの日も止むことはない。
とても痛い時もあるのよ、
あんまり勢いがいいと。
でもいつも同じ水よ、
まざりものなんかない。
うつわはじきに溢れるのよ、
そしてまわりにこぼれるの。
こぼれて何処へ行くのでしょう、
ーそんなこと、私知らない。
私はうつわよ、
愛をうけるための。
私はただのうつわ、
いつもうけるだけ。
(1936.12.3 『うつわの歌 新版』)
この表現力のすばらしさにため息がでます。
はぁ、なんて素敵なんだろう....
と思うのと同時に
私は大変拙いながらも、自身が「40年の器」に書いたものと同じ匂いを感じていました。
私が「40年の器」に書いたのは神谷さんを知る前です。
こわい!
と思いました。なんだこれ。イメージがすごい重なる。この人の言っていることがわかる気もする.....。
この人が亡くなったのは昭和54年です。
私が生まれたのは昭和56年です。
ただそれだけなんですけど、なんだかこわい!と思いました。
本を読めば読むほどこわい。生きる営みについて、ただひたむきに向き合ってきた偉人に対して、こんな事を思うのは大変失礼なのですが、端々のエピソードから他人とは思えないような親近感を感じます。(上司にたてついて意見を伝えたり、子どもがいるのに仕事に熱心になってしまったり、恋愛のエピソードなど)
それで今は神谷さんの初恋の相手だった野村一彦さんの日記が気になっています。「会うことは目で愛しあうこと、会わずにいることは魂で愛し合うことー神谷美恵子との日々」だそうです。タイトルだけで深すぎて何を言っているのかさっぱりわからないので、ひとまず機会があればまた読んでみたいなと思っております。
今日はそんな私の「うわうわ体験」について報告しました。皆様のうわうわ体験もありましたらぜひお聞かせ下さいね。
(うわうわ体験は企画じゃないですし、募集はしておりません(笑)ひとまず明日は「さいごに何食べたい」の企画の総括をしたいとは思っています。ちょっとまとめられるか今一つ自信がないのですが、みなさんの想い、そして受け止めさせてもらったものを精一杯こぼしていきたいと思います。)
サポートは読んでくれただけで充分です。あなたの資源はぜひ他のことにお使い下さい。それでもいただけるのであれば、私も他の方に渡していきたいです。