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わたしやかぞくのはなし

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わたしやわたしをとりまく家族たちの話です。
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記事一覧

父を独占したかった

我が家にはこたつがない。 6年半前に家を建てた。 うちの家は完全に洋風スタイルで、和室が一室もない。木でできたおうちは薪ストーブがついている。 私はこの家に引っ越してきて本当によかったと思っている。以前のマンションまでずっと長年悩まされてきた気管支喘息発作の回数は、この家に越してから極端に減った。そして、冬の薪ストーブのぬくぬくとしたあたたかさといったら、それはまるで天国のようである。 うちの唯一の欠点は「こたつがない」ことだ。 いや、フローリングだってなんだって、ラ

週末のお買い物と私たちにとってのシャンプー

週末になると買い物に出かける。 買い物にはだいたい夫がついてくる。 「重たいものを運ぶ人がいた方がいいだろうから」といつの日か話していたが、彼はそんなことを心配してくれるような人だ。 私はフルタイムで働いているので、おおよそ1週間ぶんの食料を買い込む。買い物が終わった後は、買い物袋3つぐらいの量にはなるので、確かに重たいといえば重たいのだ。 個人的な見解だが、スーパーはあまり広すぎない方が好ましい。なんでもかんでもたくさんそろっているより、適度に小回りできて、商品の配置

この世でいちばん難しいのは、いちばん簡単なことだったりするのかもしれない

先日「くらしずく」というイベントに参加してきた。 このイベントに参加するのは今年で3回目となる。 (1回目と2回目の記事はこちら) 毎回参加していた我が子たちは、今年は自宅で留守番したいということだったので、私たち夫婦のみでの参加となった。 夫は天候を気にしており「悪くなるようだったら都内の『西日暮里BOOK APARTMENT』に行きたいよね」と話していたが、なんとかお天気が持ちそうな予感がしたし、このイベントは年に一度の開催なので、くらしずくの会場へと車を走らせた。

それは電柱ではありません

訪問先によく猫がいる。 金曜日は3件のおうちで猫を飼っている。1日の訪問が7件。7分の3。約半分。 みんな元野良の子たちばかりだ。猫を飼ったことがないから猫の生体に詳しくない。飼ったことがないのは、猫自体は好きだが私自身が猫アレルギーだからである。 しかし、この訪問の短い時間で接していても感じたことは、彼ら彼女らは本当にマイペースであるということだ。その点、犬は人間の動きを常に気にしているような気もする。 散歩のリードを持ったら最後。「散歩行くの?ねえ散歩行くの?散歩だよ

日常のこと

昨日は嫌なことがあった。 同じく嫌なことがあった息子の話を聞いて、あなたは頑張ってるよと声をかけた。 息子は中学のダンスのグループでの発表が嫌で仕方ないのだ。発表は昨日あったのだが、急におとずれた吐き気により結局見学をしたそうだ。それ以後は学校に踏みとどまって最後までいられた。 午前中の担任の電話だと「もしかして早退させるかもしれません」とのことだったが、早退せずに最後までいられたことがすごいなと私は思った。それを伝えた。 少し頑張れなかったけども、それ以上に頑張ってた

今日という日を思い出した時に、そこに私がいた人へ

この文章はお友達のゆうゆうさんのnoteの自己紹介欄に書かれているものだ。 このことについて、以前本人に聞いたものは というものだった。 私は昨日、あらためて彼に質問した。 「今かー...」 ゆうゆうさんは話した。 「その走馬灯を思い浮かべた時にさ、たとえばここで今会っていて(くまさんを)思い出したりするじゃん。そういう感じで、自分が他の人の走馬灯にちょっと出てくるってことがあると思うの。そういう生き方をしたいよね。自分が主役でさ、出てくる人は脇役だよね。あぁそう

かぼちゃをうまく煮ることができますか?

波の音。 ざざぁ、ざざぁと、押したりひいたりするたびに潮騒が気持ちよく耳に響く。 釣り人が釣りを楽しんでいる。 犬を散歩している人がいる。 夏の終わりの海岸は、やはりどこかさみしさを抱えている。 子供たちの喧騒や、色とりどりの浮き輪。 海の家の活気づいた人の出入りや、日除けのパラソルも姿を消して、今は過ぎゆく季節を迎えている。 私はこんな海も好きである。 秋の気配が近づいて、深まっていくこの季節に個人的にはぐっとくるものがある。 どこか、余韻があるというか、やり残

言葉ではないものをよむためにこそ人は言葉をよむのではなかったか

私たちは、本屋巡りをすることにした。 色々あったが、結論はそこに至った。 春に古本市に夫と出かけた。 なんとなくその頃から、かすかな心の動きは萌芽のようにめばえていたのかもしれないし、もしかしてその時には私たちは転がり出していたのかもしれない。 いつもはじまりははじまりと気づかずに、後から気づくものだ。 それはともかくとして。 夫は私に「1時間くらいドライブをしよう」と誘い出したのにも関わらず、私たちを乗せた車は住んでいる県を離れて、いつの間にか海を渡って都内へ向か

過去の渦と光の粒と紙

ここ2〜3日、シャットダウンしている。 シャットダウンしてるのはパソコンではなく私。 ちなみにこれは現在進行形の話でもある。 自分のシステムが機能しなくなったので、使わないようにした。いや、違う。「使わない」じゃない「動けなくなってしまった」がたぶん近い。 動けなくなったので、動けませんと家族に伝えた。そしてただ休んでいる。 今の世の中は...なんて書くと、随分と私も年を取ってしまったな、なんて思うが、まぁ今日は書いてしまうことを許して欲しい。 今の世の中は、スマホ

adidasのカントリーと耳たぶの傷

「こんなところに傷があるんだね」 私の耳に傷があることに初めて気づいたのは、私の元同級生だった。 それはよく目をこらさないと見えない、小さな小さな傷だ。 そんなことを言われた私は、遠い過去、まだ記憶も定かではない頃の記憶を手繰り寄せた。私の祖母が三面鏡で毎日お化粧する場面を、そばで眺めていた幼少の頃の私は、祖母がいない間に引き出しにあったカミソリを手に取り、自分の耳を切ってしまった。 おそらく顔の産毛の手入れをしていた祖母の真似をしたのだろうと、後に祖母はタバコを吸い

くまのぬくぬく日記 15

【花火大会】 今年も地元の花火大会がありました。 (昨年も記事を書いてました) 私の両親の実家に集まる、長女である私のファミリー4人、真ん中の妹、そして一番下の妹ファミリー3人。 私の実家家族が全員集まるのは、この日か、もしくはお正月くらいかなぁと思います。 まぁ、家族の仲は悪くはないと思うんですよね。 後述しますが、ピリカさんの個性心理学のお話の中でも「くまさん、小さい頃、本当に可愛がられたでしょう。幸せだったでしょう」と言われましたが、本当にそうなのかもしれません

たまにはおいしく炭水化物を食べすぎませんか【すまスパ出演&創作大賞感想】

こんにちは こんばんは おはようございます。 突然ですが わたくし再び すまいるスパイスに出演させてもらうご縁を頂きました。 わーーーーー!! 今までは2回、お呼ばれしまして。 1回目は昨年の夏頃でした。ピリカさん、コッシーさんに丁重におもてなしを頂いて、春ピリカグランプリのピリカ賞をもらったお祝いを、ピリカさんご本人の口から直接伝えてくださったり、コッシーさんがゲストの好きな記事を選んでくださる通称コシセレを聞かせてもらいました。 もう1回はすまスパPRO。ピリ

はじめて2人で暮らした日々とやまいもとリトルマーメイド

かばんにつめこんだのは、半袖と長袖のTシャツ、パーカー、ジーンズ、村上春樹の海辺のカフカ、iPod、国試対策の本、USB、そしてはじめて買った料理の本。 私は中央線特別快速で新宿まで出て、京王線に乗り換えた。ビル群がにょきにょきしている景色から、少しずつ少しずつ建物の高さが低くなり、空が広く見えるようになる。洗練された都市の街並みから、一般住宅も多くなってきた。緑も多くなる。 長いな、と私は思っていた。 私の住まいから目的地まで1時間半以上はかかる。気軽に行ける距離でも

「おいで」の時間を待っている

山崎まさよしさんが好きになって、もう26年くらい経つ。 私が17歳の時に出会ったドラマの主人公が、彼だった。 そのドラマのストーリーはこうだ。 20代の青年がある事件により記憶をなくしてしまった。彼は赤ちゃんみたいな状態から人生をやり直し、現在は8歳児として生きている。 そんな難易度の高い役柄を、役者でもなんでもない彼が抜擢された理由について「頭ん中が普段から8歳児に近そうやからって言われたわ」とけたけたと笑いながら話す姿に、私は一気に心を奪われ、ぐいぐいと惹かれてし