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リファクタリングの重要性を理解する(中級編)

エンジニアとして一定の経験を積むと、コードを書くだけではなく、いかにコードを持続的に改善し続けるかが重要になってきます。僕がCTOとして多くのプロジェクトに関わる中で、リファクタリングの力を何度も実感してきました。新しい機能を追加することももちろん大事ですが、それ以上に技術的負債を管理し、未来の自分やチームを助けるためのリファクタリングは、エンジニアとしての成長にも繋がる重要なスキルです。今回は、リファクタリングの具体的なアプローチと、どうやってプロジェクトの成功に貢献するかについて、少し踏み込んでお話しします。


リファクタリングの目的:技術的負債を減らすために

リファクタリングの最も大きな役割は、技術的負債を管理し、将来的な開発コストを削減することです。僕の経験でも、技術的負債を放置した結果、プロジェクトが「動かすのが精一杯」な状態に陥ることがありました。古いシステムを改修するにも、一つの小さな変更に対しても膨大な時間と労力がかかり、開発スピードが著しく低下してしまったんです。これは典型的な技術的負債の例です。
リファクタリングはその対策として、古いコードを整理し、新しい機能の追加や変更をスムーズにするための重要なプロセスです。特に僕がリーダーとして進めてきたのは、「新機能の追加のついでにリファクタリングを行う」という習慣をチームに根付かせることです。小さな改善でも積み重ねれば、大きな変化をもたらすことができます。


リファクタリングの具体的な成功事例

リファクタリングの価値を実感したプロジェクトがいくつかあります。例えば、膨大な量のデータを扱う検索システムのメンテナンスや検索スピードが課題となっていた時、検索システム自体をリファクタリングしてベース技術を刷新することで、メンテナンス効率が劇的に向上し、検索速度も大幅に改善しました。これによって、チーム全体の作業がスムーズになり、顧客に提供する価値も大きく向上しました。
また、スタートアップのプロジェクトでは、早期立ち上げのために迅速に作られたシステムが年々スパゲッティ化し、コードの保守が困難になっていました。これを完全リプレイスする決断を下し、大きなリファクタリングを行うことで、開発効率とシステム品質を一気に改善できました。もちろん、リファクタリングには時間やコストがかかりますが、時にはそうした大きな決断も必要なのです。


リファクタリングを怠った際の苦労

リファクタリングを怠ると、問題は放置され、システム全体がコントロール不能に陥ります。僕が途中から関わったプロジェクトで、ドキュメントもなく、システムの使用方法がわからないという状態に直面したことがあります。小さな修正でも、システム全体を慎重に再テストする必要があり、莫大なメンテナンスコストがかかってしまいました。リファクタリングをしていないと、将来的にこうした負の遺産を引き継ぐことになるのです。


リファクタリングのプロセスとチームへの伝え方

僕がエンジニアに伝えたいのは、技術的負債を管理するだけでなく、未来の自分や仲間のために「良いものを作る」という姿勢が大事だということです。ビジネス的な視点も重要ですが、エンジニアとしては自分の作るものに誇りを持ち、愛着を持つことが最も大切だと考えています。**「汚いものは綺麗にする」**という意識を持つことで、チーム全体が良いものを作り続ける文化が育ちます。
リファクタリングはただの技術的なプロセスではなく、エンジニアとしての自己成長チーム全体の成長にも繋がる重要な行為です。自分が作ったものを将来も自信を持って触れるよう、常に改善を意識しましょう。


リファクタリングと「再現性」の関係

リファクタリングは、古いコードから学び、改善を加えることでプロジェクト全体の再現性を高めるプロセスだと僕は考えています。新しいコードを書くことにも学びがありますが、古いコードを読み解き、そこから「良い部分」と「悪い部分」を見極める力を養うことも非常に大切です。悪い部分を見極め、それを新しい形に変えていくための企画力や判断力は、リファクタリングを通じて磨かれていきます。こうしたスキルが、エンジニアとしての成長の鍵になります。
リファクタリングを進めることで、次に同じような問題に直面した時にも、再現性のある解決策をすぐに実行できるようになります。このプロセスを繰り返すことで、エンジニアとしてもチームとしても、大きく成長できるのです。


僕の経験談

僕がリファクタリングの重要性を強く感じたのは、成長中のプロジェクトで技術的負債が積み重なっていった時です。コードが複雑化し、誰も手をつけられなくなり、最終的にプロジェクト全体が行き詰まる寸前までいったことがありました。リファクタリングを躊躇せずに進める決断をしたことで、開発効率が回復し、チーム全体が前向きに進むことができました。この経験から、日常的にコードを改善していくことがいかに重要かを強く実感しています。


まとめ

リファクタリングは単なる技術的な作業ではなく、エンジニアとしての成長やチームの成功に欠かせないプロセスです。技術的負債を減らし、プロジェクト全体の保守性や拡張性を向上させることで、未来の自分やチームを助けることになります。中級エンジニアとして、リファクタリングを習慣化し、日々の改善を続けていきましょう。

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