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論文を読んだ記録(スキル・コンピテンシ編)。


ここでは、お勉強のために読んだ論文を記録することにします。
自分の興味分野でわけて、このスキル・コンピテンシ編と、アジャイル開発編、それからキャリア編に分けることにしました。
なんだか増えていくなー。発散しないように気をつけよう。
アジャイル開発編はこちらへどうぞ。
キャリア編はこちらへどうぞ。

【001】日本のIT プロジェクトにおけるポジション・職種とコミュニケーションスキルに関する一考察(森本(2015)、Journal of the Society of Project Management Vol.17, No.1, 2015)

2021年8月17日
ITSSを用いた調査データを分析(なので量的研究の部類です)し、プロジェクトマネージャーと組織マネージャやほかの技術者とのスキルレベルの違いを調査した論文。特にコミュニケーションスキルについて注目しています。
論文中のグラフからは、あまり明確には読み取れなかったのですが、
分析結果としては以下。
①管理職のコミュニケーションスキルは従業員より高い。つまり、ポジションによってコミュニケーションスキルが高まる(異なる)。
②組織マネージャーとプロジェクトマネージャーはいずれも他の職種と比較してコミュニケーションスキルが高い。
③プロジェクトマネージャーは管理職でなくても、管理職と同様のスキルの高さにある。
まとめとして、「組織を運営するという観点で,プロジェクトマネージャーと組織マネージャーのヒューマンスキルを実データで比較し,類似性を明らかにした」とし、「日本のIT 企業では機能組織単位でのプロジェクトが多いためプロジェクトマネージャと組織マネージャの役割が分化していない可能性が考えられる」としています。これは、役割が分化していないのか、はたまたそういう文化なのか(笑)。
「管理職としてのスキルを磨かせるために、プロジェクトマネジメントを学ぶことは有用」というのは、たしかにうなずけるところであります。

【002】ITプロジェクトマネジャーのコンセプチュアル・スキルに関するモデルの構築(松井(2018)、情報処理学会 Vol.2018-IS-146 No.2)

2021年8月21日
プロジェクトマネージャーが、問題解決を通して発揮しているコンセプチュアルスキルを明らかにすることが論文の目的。
Katsのスキルモデルでは、テクニカル・スキル、ヒューマン・スキル、コンセプチュアル・スキルがあり、コンセプチュアル・スキルは、マネジメント段階が高くなるにつれて重要性が増し、ヒューマンスキルを下位に従える。
研究方法はEisenhartによる研究プロセスを用いた質的研究(初耳。あとでチェックした方がいい)。インタビュープロトコルを作成してインタビュー。時系列と因果関係に注力して、ブロックを再構成してストーリーの構造化を実施。
結果、2つの概念、8個のコンセプチュアルスキルの構成概念、24個の属性が抽出された。
良いのですが、最後にまとめをしてほしかった。紙面の都合かな。

【003】情報システム開発におけるPMの引継ぎ能力モデル(三宅(2017)、P2M学会)

2021年8月22日
この論文では、引継ぎの能力を段階的に向上させることを示した「情報システム開発におけるPMの引継ぎ能力モデル」を提案しています。
先行研究では、例えばITスキル基準V3(ITSS)は、高度IT人材像に即した共通キャリア・スキルフレームワークであり、ビジネスの成功という視点から、顧客と相対する価値創造の達成に必要な実務能力を7レベルで定義しています。あとはピープルCMMとか。
これらいくつかの先行研究をもとに、「情報システム開発におけるPMの引継ぎ能力レベル」を定義しました。
で、インタビューにより、各能力レベルに対応するふるまい(コンピテンシ)をマッピングし、「情報システム開発におけるPMの引継ぎ能力モデル」を作成しています。

【004】成功するプロジェクト・マネージャーのコンピテンシー認識(大塚(2013)、PM学会)

2021年9月20日
この論文は、ITプロジェクトマネージャーに対し、アンケート調査でPMBOKガイドの42のプロセス群の自己評価を行ってもらい、プロジェクトの成功、不成功に影響するコンピテンシーを特定しています。
主因子法で因子分析を行い、9因子解を採用してバリマックス回転を行い、有意差が認められた因子と各成果について共分散構造分析によるパス解析を行っています。この辺りは、主因子法を勉強しないと今一つ分からないですねー。
で、結果ですが、プロジェクトの時間成果に「引渡成果物マネジメント」の、コスト成果に「要求事項マネジメント」のコンピテンシーが影響し、これら2 つに「進捗マネジメント」のコンピテンシーが間接的に影響することと、成果を挙げているPMは,コンピテンシーの自己認識と重要性認識が共通していることを検証した、とあります。ほとんどの項目において、PMのコンピテンシー認識とその重要度の認識が相関されている、ということは、PMBOKのプロセス群から抽出したコンピテンシーは大事と思っている、ということが確認できた、ということです。こういう調査は正解がないから難しいですねー。

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