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ソーシャルワークの現状と課題(1)

ソーシャルワークについて

ソーシャルワーカーの仕事

時々ドラマやマンガに出てくる福祉系の相談職.生活保護課の窓口,病院の相談員,介護保険の相談業としてのケアマネさん.端役な場合もあるけれど,「護られなかった者たち」のように生活保護課の問題が主題になるような映画もある.
一般に,保護課のワーカーはケースワーカーだし,ケアマネジャーはソーシャルワーカーなのかという疑問が持たれている.しかし,そうした疑問やそもそも論としてあまり一般には意味をなしていないような気がする.
その他,スクールソーシャルワーカー(SSW),病院の相談員はメディカルソーシャルワーカー(MSW),社会福祉協議会などで地域福祉に関する相談を請け負う人はコミュニティソーシャルワーカー(CSW)とも言われている.その他,精神科病院などで働く相談員は精神保健福祉士(PSW)とも言われている.福祉系の仕事をしていればそうした違いは分かるが,一般にはその違いは認知されていないと思う.
社会福祉士を名乗って相談業務を行う人のことを一般にソーシャルワーカーとして認知されているが,社会福祉士を持っていなくても上記のような機関で相談業務を行う人のこともソーシャルワーカーと呼称しても問題は無いような気がする.

ソーシャルワークとは何か

そもそもソーシャルワークとは何かという議論はたくさんされているが,ケアワークとの違いで説明した方が分かりやすい.
ケアワークは,身体を使って介護,介助等を通じて身体に障害のある方の日常生活を維持するために補助すること.分かりやすく言えば,排泄,食事,入浴,体の移動などの補助をすること.もちろん,そこには医学的心理学的な知識,ボディメカニックスなどなど様々な知識を必要とする.
ソーシャルワークは,ケアワークのような介助や介護ではなく,言語を中心として障害がある人が必要に応じて地域や他の機関との連携を通じて生きやすい環境を作り出すことを中心とする.エンパワメントや社会的変革的な意識や思想などを基調としている.もちろん,制度に精通しながらもそれ以外の発想が求められているとされている.

ソーシャルワークの使われ方

2000年の社会福祉基礎構造改革以前の社会福祉が措置制度であり,行政の裁量で福祉の対象者は,自己選択でサービスを利用できなかったという反省がある.そのため,権利擁護や透明性,自己決定の尊重,意思決定支援などが勧められるようになった.また施設偏重の社会福祉から地域福祉への転換も謳われ,そこにソーシャルワークとしての思想がマッチングしたと思う.地域包括支援センターや病院の相談員は社会福祉士が必置となり,ソーシャルワークの必要性がますます高まった.
このように権利擁護や地域福祉の推進の根幹にはソーシャルワークの思想が根底にあるとして,本来,ケアワークに近い保育士にもソーシャルワーク的な視点が必要だとか,介護福祉士にもソーシャルワークの発想が求められるなどのハイブリットな使われ方がされている.

おわりに

このようにソーシャルワークは様々な機関で使われているが,日本においては十分に機能していない,あるいは日本におけるソーシャルワークは果たして本当の意味でのソーシャルワークなのかという議論もある.次回は,その辺の課題についてまとめてみたいと思う.

参考書など

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