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カイゴ(介護)のイメージについて

カイゴは大変.

カイゴ(介護)と聞くと,みなさんはどのように思うだろうか.大変な仕事ですね〜,いや〜自分には出来ませんよ.と言われたことはないだろうか.
その一方で,キツイ,汚い,危険とかとかく3Kと言われることも.確かに,排泄物や嘔吐物の処理など人としての汚いことを常に行わないといけない.また,夜勤,早番,遅番など不規則勤務で体内時計は狂いっぱなし.また,案外書類仕事も多くて,夜勤明けに残って書類仕事をすることも.しかも人手が足りないときは,残業しているにもかかわらず手を貸してほしいと言われることも.
他の業種も大変なことはあるけれど,まず,あなたは見も知らない人の排泄物を処理できますか?口を開けずに食べない人にご飯やお薬を飲ませられますか.あるいは,利用者からの暴力や暴言に感情を殺して笑顔で対応できますか.障害でも同様におそらく大多数の人にとって,あなたの知らない世界が広がっている.たぶん,カイゴの大変さの特徴はこの点に尽きるのでは無いかと思う.

カイゴは人手が足りない

カイゴをする人材は常に足りない状況になっている.これは散々メディアでも喧伝されているし,事実である.人材派遣に頼めば良いのではないかと言うけれど,紹介料は100万以上が多いという現状,よっぽどのことがない限り派遣から充足するのは難しい.
介護,人材不足,で検索すればいくらでも出てくるので,その原因とか解決方法の詳細はそちらをのぞいてほしいが,介護保険サービスを利用する人は全65歳以上の被保険者の内14%程度とされている.今後,都心部の高齢者人口はかなり増えることは確定している.よって,地方の介護人材は地元に比べ賃金の高い都心部に吸い寄せられる.そのため地方の介護人材はますます減少していくことになる.外国の人を人材として招き入れようという施策もあるけれど,今の現状からすれば焼け石に水にもなっていない.
カイゴは高齢者だけでは無く,障害者福祉分野ではもっと状況が悪く人材の充足率は60%を下回っている.
介護人材の離職理由の一つに人間関係とか法人の理念に合わないと言ったことが上位にある.人材不足でブラック化した施設に明るい未来は無いといえる.

カイゴは底辺の仕事である

カイゴは誰でも出来る仕事であると政府もメディアも喧伝する.失業後の受け皿としてカイゴは様々な職業訓練のプログラムに組み込まれている.ハローワークに行けば,どこもかしこもカイゴ人材の募集をしている.しかしながらカイゴ人材は今,流出している.昨今の物価上昇によって他の業種が賃上げをしているのにカイゴ業界は何も出来ていないからである.
歴史的に,カイゴは看護の助手的な立場であったり,女性が担う家事労働(シャドーワーク)であったり,資格などが不要なものとされた.いわゆる専門性の低い仕事と認知されてきた.
そのため,近接する看護職からはカイゴは下に見られがちである.また,専門性を高める一環で,国家資格のほかケアマネなどを取得することで,カイゴから相談業務にキャリアップを目指す人が増加する.めでたくソーシャルワーカーやケアマネさんになった,元カイゴの皆さんからも下に見られることも.バカにされたくなければ,資格を取ろうという風潮もまだ,ある.ましてや男性がカイゴ職員はマイノリティであるがゆえに,女性から,男性のくせにカイゴ,ですかと同職からの評価も厳しいものとなる.
社会的にもそして身内からもカイゴは底辺の仕事として認知されることになってしまっている,と思う.

あえて,やりがいとか解決策は何かとか,そんなことは言わない.

そんなイメージの悪いカイゴだけれど,一方でポジティブ3Kと言って,感謝・感激・感動とか社会福祉協議会が提唱したことがあった.また,「介護」,「やりがい」とか「解決方法」と検索すれば,これもまたたくさんの記事が見ることが出来るのであえてここでは紹介しない.
バカにされてもいいし,底辺として扱われているのももう慣れっこである.こんな賃金だと結婚できないと男性の結婚退職が起きているカイゴ現場である.しかし,もし,あなたが結婚して,子どもが出来て小学生とか中学生になったとき,お父さん(お母さん)の仕事はカイゴだよって,子どもが友達に胸を張って言えるだろうか.もし,それによって恥ずかしい思いをさせてしまうと思うのならば,そうじゃないと子どもに言ってあげるだけの仕事をしないといけない.
カイゴをしている人は知っている.これは誰でも出来る仕事では無いし,真っ当な仕事であると.利用者のこれまでの困難や生きづらさを目の当たりにして出会うこともあり,共感とかそんなことでくくれない実存の重みがかかる覚悟を必要とする仕事でもある.
もし子どもにそれらを伝えることが出来るような仕事をしていれば,たぶん,周りがどう言おうが思おうがどうでも良いことなんじゃ無いかと思う.

参考資料

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