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2022年 極上の温泉10選
2023年も早数日が過ぎ、だんだんと年の移ろいを自覚し始めてきた今日この頃。
今回は2022年に巡った温泉193湯(再訪含む)の中から、厳選に厳選を重ねて特に良かった極上の10湯を紹介していきます。
1. ピリカイコロユ アサヒ湯(北海道帯広市)
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帯広駅徒歩15分の温泉銭湯。
お湯の見た目は完全に十勝らしいスタンダードなモール泉だが、匂いはモールの香りよりも硫黄臭が前面に出ている上、泡付きと湯量がとにかく凄まじい。
泉温は約40℃、浴感は非常にツルスベで肌に優しく、シャワーにまで源泉を使用しているため全身を極上の温泉でコーティング可能。
特筆すべきは浴槽の構造で、湯口が浴槽内に複数箇所あるため大量のお湯が空気に触れることなく(=ほぼ酸化することなく)絶えず浴槽に注がれている。
これは温泉を最も鮮度の高い状態で使用している形態である「足元湧出」に近い構造であるといえる。
また隣の水風呂も掛け流しで、贅沢に交互浴まで出来るというのだから脱帽するしかない。
その上、気分転換がしたくなったらサウナまである。
鮮度・泡付き・匂い・立地、何をとっても素晴らしい。
温泉オタクの好きな要素を全て詰め込んだ、まさに「ピリカイコロユ(美しい宝の湯)」だった。
2. 北見温泉 ポンユ三光荘(北海道北見市)
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ぬるめ適温(40℃)と不感温(35℃)、泉温の異なる2本の源泉がいずれもドバドバ掛け流し。
泉質はどちらもMTアル単で、ふんわりたまごの香りと細かくもはっきりとした泡付きがある。
特に不感温のぬるめ浴槽は、湯に沈んでいると次第に身体と温泉の境界が曖昧になって溶けていくような感覚が筆舌に尽くし難いほど最高。
豊富な湯量のおかげで鮮度も申し分なく、少し冷えてきたなと思ったら隣に適温の広々とした湯船で温まれるのも嬉しい。
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ここは夜遅くまで日帰り入浴を受け付けているほか、安価で宿泊も可能。宿泊して時間を忘れぬる湯に沈没するのも至高のひとときだろう。
3. 豊富温泉 ふれあいセンター(北海道豊富町)
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日本最北端の温泉郷・豊富温泉の共同浴場。
とろすべで優しい浴感の高張性石油温泉が贅沢に掛け流されており、アトピーなどの皮膚炎に特に効果があるため、湯治の聖地にもなっている。
油分がとにかく豊富なお湯が特徴的で、金色に透き通ったお湯には油膜が絶えず浮かんでいるほど。
身体に塗るタイプの温泉原油を併用することで保湿効果を極限まで高められる。
浴感はしっとりトロトロで、ヘアオイルや椿油を纏っているかのような圧倒的な油感は他に類を見ない。
また、一般向け(適温)と湯治客向け(ぬるめ)で浴室・浴槽がそれぞれ別れており、利用者は好きな方を選んで入浴することが出来るが、筆者は断然ぬるめの湯治浴場をオススメする。
というのも、ここのお湯は身体に負担をかけない温度で長時間・長期間入浴することで真価を発揮するからである。
1〜2時間ほど浸かった頃には肌のコンディションが見違えるほど改善していること請け合いだ。
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ふれあいセンター内の食堂・味彩では北海道名物のジンギスカンを自分で焼いて食べることも出来る。
羊肉がとにかくジューシーで柔らかく、野菜や米との相性も言うまでもなく抜群。気付けばノンストップで完食していた。
湯上がりの腹ごしらえに是非。
4. 下部温泉 古湯坊源泉舘(山梨県身延町)
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当館の名物は約30℃のアル単を足元湧出でじっくり堪能できる大岩風呂。
その名の通り大きな岩風呂なのだが、この湯船が度肝を抜かれるほど大きい。優に30人は同時に浸かれるのではないかという勢いである。
それだけ湧出量が豊富ということであり、温泉で最も大事な要素とされる「新鮮さ×湯量」という点においては、全国的に見てもここの大岩風呂を超える温泉施設(野湯を除く)はほぼ無いと断言していい。
これだけでも十二分に凄いのだが、流石は下部の老舗湯治宿だけあって「正しい温泉」を理解しているというべきか、超ツルスベのアル単を30℃の足元湧出だけでなく42℃の加温掛け流しとの超贅沢な交互浴で堪能できるのだ。
大岩風呂の広々とした湯船を構成する岩盤の至る所から湧き誇る源泉は、仄かなたまご臭と微細な泡付きもあり鮮度抜群。源泉掛け流しの加温湯は泡付きこそ無いものの、柔らかく肌に馴染むツルトロな浴感が楽しめる。
アル単の長所を極めた文句無しの極上湯である。
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また、混浴の大岩風呂の他に本館には男女別浴室もあり、こちらでは奥の湯高温源泉の引湯を使用。
お湯は明瞭な硫黄臭と白い湯の花の付着があり、2箇所の湯口で泉温の異なる2種の源泉がブレンドされ使用位置では35〜37℃の不感温となっている。
宿の「じっくり極上の湯と向き合ってほしい」との意向から現在は宿泊のみの営業となっているが、最安プランだと1人1泊2食付き1万円少々とかなりリーズナブルに宿泊できる。
湯治客も歓迎しているため当然1人泊も可能。
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温泉の鮮度や昔ながらの湯治宿の雰囲気にこだわる方は是非一度、泊まってゆっくり堪能してみては。
5. 上諏訪温泉 宮の湯(長野県諏訪市)
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諏訪大社上社から徒歩5分ほどの場所に位置するここ宮の湯は、かつては諏訪大社の参拝客向けの旅館だった。
現在は主に地元の方が利用する温泉銭湯となっている。
当館自ら「天下の名湯」と謳っているだけあり泉質は素晴らしく、約45°Cでピリッと熱い塩化物泉と28°Cで仄かに硫黄が香るトロスべのアル単、異なる2本の源泉掛け流し同士の交互浴が堪能できる。
浴室の両端にズラリと並んだカラン全てにも源泉を使用しているのだが、驚くべきことに赤いカランからは熱い源泉、青いカランからはぬるい源泉がそれぞれ凄まじい勢いで出てくるのである。
つまり、利用客は源泉を自分で好きな温度にブレンドした上で好きなだけ浴びることが出来るということだ。こんな贅沢な温泉銭湯は極めて稀である。
大浴槽と赤いカランで使用されている神宮寺源泉は62°Cと激熱だが、浴室の上部が吹き抜け構造になっているため熱気や湿気が籠ることはない。こういった細かな工夫にも唸らされる。
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また、筆者が訪れた際には番台のお母さん直々に色々とお話を伺うことができた上、浴室の写真撮影も向こうから快諾・奨励していただいた。
極めて優れた泉質の温泉だけでなく、参詣宿だった頃の名残か、ホスピタリティに満ち溢れた素晴らしい温泉銭湯だった。
6. 柚木慈生温泉(山口県山口市)
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山口市の外れも外れ、島根との県境付近の山間にぽつんと佇んでいる温泉。
瓢箪型の湯船に注がれる金色のお湯は、炭酸成分が濃すぎるあまり専門家から加水の指導が入ったほどに超濃厚な強炭酸泉で、国内でも指折りの成分含有量と泡付きを誇る。
ここの炭酸成分がどのくらいの凄さかと言うと、内湯で完全掛け流しにすると浴室内の二酸化炭素濃度が高まりすぎる関係で命に危険が及ぶ(と推測される)レベルである。
二酸化炭素・カルシウム・マグネシウムなどの苦味が混ざりあった炭酸泉は加水されているとは思えないほど凄まじい泡付きで、湯船に入った瞬間全身が大きな泡で包まれるほか、泉温は38℃前後の不感温ながら浸かっているとじんわり熱に包まれる。
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日帰り営業がメインではあるものの、予約すれば宿泊も可能とのこと。
昼間は混み合うことも少なくないので、1人でじっくり湯と向き合いたい方は宿泊も検討してみては。
7. 持世寺温泉 上の湯(山口県宇部市)
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ほんのり硫黄臭が香るMTアル単弱放射能泉が40℃の源泉そのままと42℃の加温湯でどちらもドバドバ掛け流し。
絶妙に泉温が異なるため源泉掛け流し同士の交互浴も可能。
特筆すべきはとにかくツルッツルなお湯で、肌に触れると「キュッ」という音が鳴る感覚すらある。
2つある浴槽はどちらも湯口が湯船の中にあるため鮮度も非常に高く、オーバーフローも凄まじい。
浴感は上質なアル単といったところだが、放射能成分が含有しているおかげか冬でも湯上がり後も身体の芯の熱がしばらく持続する。
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全国的には温泉のイメージがそれほど強くない山口県だが、前述の柚木慈生温泉をはじめ、個性豊かな極上湯が湧く土地であるということはもっと知られてもいい。
しかし、ここも紛れもなく山陽では最強格の温泉ではあるものの、なぜ宇部の田園地帯のド真ん中からこのような極上湯が湧くのかは不明。
8. 佐賀大和温泉 アマンディ(佐賀県佐賀市)
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佐賀市北部・旧大和町の中心部からほど近くに位置する温泉ホテル。
一見すると大浴場が付いているだけのごく普通のホテルに見えるが、ここアマンディに湧く温泉はなんと肌の上でバチバチと泡が弾ける強炭酸泉なのである。
源泉浴槽は泉温別で3種あり全て掛け流し。
3種の湯船はそれぞれ、25℃の源泉を非加温でそのまま掛け流しているお湯(内湯)、体感で使用位置30℃前後に加温していると思しき泡付きが最も凄まじいお湯(内湯)、約40℃に加温した金色のお湯(露天)となっており、気分によって好きな湯船を選ぶことが出来る。
浴感は中性〜弱酸性のカルシウム系ということでキシキシ感がやや主張しているものの、泡付き浴槽ではかなりぬるい泉温に反して凄まじい泡付きの影響で入っているとむしろ熱く感じてくる。
これは個人的に炭酸泉の王たる長湯温泉ラムネ温泉館の非加温浴槽と全く同じ浴感であり、加温湯が金色に濁っている点もよく似ている。
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一応ホテルということで、予約すれば一般的な客室や安価なキャビンルーム(男性専用)に泊まることも出来るほか、深夜料金2000円を追加すると当日予約無しでもレストルームで宿泊可能。
もちろん泊まれば深夜と早朝にも極上の炭酸泉をゆっくりと堪能できるため、断然宿泊での利用をオススメしたい。
9. 筌の口温泉 山里の湯(大分県九重町)
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大分と熊本の県境付近・くじゅう連山の麓の飯田高原に湧く天然の高濃度炭酸泉。
山小屋のような小ぢんまりとした浴室には、40℃の源泉が非加温で掛け流される適温の小浴槽と、それが外気で冷まされて36℃ほどになった大浴槽の2つが隣り合っている。
お湯の新鮮さの証明である湯船の中にある湯口からはボコボコと音を立てながら絶えず炭酸泉が湧き出しており、湯口付近にいるとあっという間に全身が銀色の泡という泡でコーティングされる。
知覚としては多少の金気と土気に加えて同程度の硫黄臭があり、浴感はこの手の炭酸泉によくあるキシっぽさは控えめで、代わりにアル単のようなトロスべ感のある湯触りが肌によく馴染んだ。
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ここのお湯の特筆すべきところは、源泉温度40℃と天然の炭酸泉においては比較的高温ながら尋常ではない泡付きがあるという点である。
源泉温度40℃を超えていてなおかつ山里の湯以上に泡付きが凄まじい温泉は、恐らく日本中探してもほぼ存在しないのではないかと思われる。
また、浴室内は窓を全開にしても換気が十分に出来ないほど二酸化炭素濃度が濃いため、一度の入浴は1時間以内に留めることを推奨。
こういった強炭酸泉では泉質が優れすぎているがゆえに、最悪の場合は命の危険が及ぶ可能性もあるので注意しなければいけない。
しかしながら、そういった危険性を孕んでいるところも含めて真の極上湯であるというのもまた事実である。
10. 湯川内温泉 かじか荘(鹿児島県出水市)
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出水市の細い山道を進むと最奥部に突如出現する温泉。
数年前までは湯治宿として宿泊も受け付けていたが、水害の影響で現在は日帰り営業のみ行っている。
文字通り坂の上にある上の湯と坂の下にある下の湯、2種類の浴室と湯船があり、いずれも足元湧出となっている。
足元湧出の温泉は通常、温泉が湧く場所に後から湯船と浴室を作る関係で大半が混浴となっているが、ここは湧出箇所が複数あるという点を活かして男女別浴室×2という構造を採用しているため、異性に気兼ねなく湯と向き合えるのが非常に優れたポイント。
上の湯は主に外部客や1人で静かに温泉を楽しみたい人向け、下の湯は主に地元の方同士の安否確認と憩いの場というような形で棲み分けがなされている(ただし誰がどちらに入るのも自由)。
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足元湧出の超新鮮なアル単硫黄泉は、37〜38℃の泉温から化粧水のようにトロトロな湯触り、全身をふわっと優しく包む泡付き、ほんのり香る硫黄臭に至るまで全てにおいて突出しており、自分の中で温滑泡卵(ぬるめ×スベスベ×泡付き×卵臭の4要素を兼ね備えた温泉の略称)の価値観が揺らぐほどの極上湯だった。
何を隠そう、全国的にも1,2を争うほどハイレベルな温泉が集う鹿児島県の温泉番付で横綱に君臨しているのがここ湯川内温泉かじか荘なのである。
霧島の酸性硫黄泉や指宿の高張性強塩泉をはじめとするパワー系の温泉が目立つ鹿児島において、ぬるめで優しい浴感のMTアル単硫黄泉が頂点に選ばれたという事実こそが、端的にこの温泉の筆舌に尽くし難い素晴らしさを物語っている。
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そして、自分の中で2022年で最も良かった温泉もまた、湯川内温泉かじか荘であるという結論に至った。
2023年も極上の温泉に出逢えることを祈って。