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英語学習×HSP(繊細な人)

オーストラリアのホテルで、チェックアウト後に荷物を預けようとしたとき。
クローク係の女性:"What's your name?"
私:(名字と名前、どちらを言えばいいんだろう?荷物を預けるだけだから、下の名前だけでいいのかな。念のため、名字も名前も両方伝えるか。いや、どちらにしても、日本人の名前を伝えたところでこの方は書き取れないだろう。名字と名前をスペリングで伝える?いっそのことパスポートを見せたほうがいい?わからん、、!)

わずか3秒ほどの間に、私の頭はフル回転していました。でも、いろいろ考えてしまって答えられない。名前を聞かれただけなのに。

このときは、かなり落ち込みました。自分って、なにか変なんじゃないかと。そして、これは英語力とは違う問題だろうとも思いました。

HSP

このことについて考えていく中で、自分はHSP(Highly Sensitive Person、繊細な人)なんじゃないかと思うようになりました。

ご存じの方には釈迦に説法となりますが、HSPとは、相手の感情やその場の雰囲気など、自分の身の回りの環境の変化を人一倍敏感に感じやすい人のこと。

アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によれば、以下4つの特性を持っているとされています(4つの特性の頭文字をとって、DOES、ダズとも呼ばれる)。

特性1: 深く考える傾向にある(Depth of processing: D)
物事を深く考える傾向があるのも、HSPにみられる特性です。「自分の言葉が違う意味でとらえられていないか、必要以上に気にしてしまう」「考えても結論が出ないことを熟考する」などのように深く考えすぎて、他のことが手につかなかったり、体調を崩したりしてしまいます。

特性2: 刺激に敏感である(Overstimulated: O)
HSPは人間関係だけでなく、強い音や光、においなど、さまざまな感覚が敏感になります。そのせいで本来集中すべきことに集中できないといった支障が出てしまうケースもあるため、HSPは自分が安心して落ち着くことのできる場所を探す必要があると言われています。

特性3: 共感しやすい(Emotionally reactive and high Empathy: E)
感情移入しやすいのもHSPの一つであり、自分の考えが他人の感情に左右されたり、自分とは全く関係のないことや悲しいニュースでも傷ついたりしてしまうケースがあるとされています。

特性4: 些細なことに気づき、影響を受けやすい(Sensitivity to Subtleties: S)
HSPは人の言動に敏感です。たとえば、電車内で大声で会話している人たちが気になって嫌な気持ちになってしまいます。自分の家にいると心が落ち着きますが、上の階や隣人の足音や物音が気になってイライラしてしまうこともあります。どんなに小さく些細なことでも気づいてしまうため、いろいろと考えを巡らせてしまい、結果的に疲れてしまうのです。

https://news.mynavi.jp/article/20200928-1257762/

私自身、はじめてこの4つの特性を見たとき、すべてしっくりくる感覚がありました。

なにかと先回りしていろいろ考えてしまい、気疲れする。強い音が苦手。ネガティブなニュースを見ると自分まで辛くなってくるので見ないようにしている。いろいろ気付きすぎて、修正しようとすると疲れる、など…。

私の冒頭のエピソードは、Depth of Processing (D)に関係しているんだろうと思います。
考えてみると、私は日本語でも即興で話すのは苦手なタイプ。自分の意図を正確に伝えたいがために、誤解が生じない言い方をいろいろと考えてしまって、話すスピードが遅くなることがよくあります。

英語学習×HSP

細かいことに気付いてしまい、それぞれに深く考えてしまうので、気疲れしてしまう。
そんな側面は確かにあるけど、自分の特徴としてうまく付き合っていくしかない。そうであれば、HSPのプラスの側面にも目を向けてみようと思いました。

15年以上ビジネスの現場で英語を使ってきた身としては、英語学習においてHSP気質が役立っていると思うことも結構あります。例えば、

正確に習得しようとする力

細部に注意を払い、深く考え、完璧を目指そうとする気質は、どれも英語の上達に役立つと思っています。
単語や文法をしっかりと覚えたり、発音にも気を付けようと無意識のうちに心掛けていることで、英語の正確さ(Accuracy)の向上に寄与すると感じています。

新しい表現に気付く観察力

細部に注意を払う観察力は、初見の単語や表現に気付き、定着させることに役立つと感じています。
英語学習教材から学べる英語には限界があるため、レベルが高くなるにつれて、Authentic materials(英語学習向けではなくネイティブ向けに作られた素材。例えば新聞、映画、音楽など)や実際の会話を通して英語力を高めていくことになりますが、このときに観察力の高さが活きると考えています。

相手の気持ちを察し、共感する力の高さ

英語はコミュニケーションのツールですが、コミュニケーションが人と人とのやり取りである以上、もっとも大切なのは人間力です。
英語力は高いが不快な言動をしたり高圧的な言い方をする人よりも、英語力が十分でなくても相手の気持ちを察して共感できる人がいいというのは万国共通です。

最後に

本記事が、HSP気質があると考えていらっしゃる方の英語学習の参考になりましたらうれしいです。

冒頭のエピソードについては、その後、「下の名前とスペリングを言ってみる」と決めることにしました。この数日後、オーストラリアのカフェでフラットホワイトを頼んだとき、"Can I grab your name?"と聞かれ、決めたことがちゃんと活用できました(名前を聞くときにgrabを使うのか、というのも新しい発見)。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
それでは。

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