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老人介護施設の主役は誰?
「まどか26歳、研修医やってます」というドラマがあります。
芳根京子さん扮するまどかが、自分の専門を決めるため、
同期の研修医たちと各科をローテーションしながら、医師として成長していく物語です。
医師の話ですので、当然病気や命というものがテーマになりますが、
このドラマは、毎回設定を変えて、患者の向き合い方と医師の関わり方を描いており、
楽しみにして見ております。
先日の回では、佐々木希さん扮するキャリア女性が、
膀胱全摘手術についての葛藤を描きました。
その中で、まどかの泌尿器科での指導医に扮した奥田瑛二さんが、
言った言葉に考えさせられました。
「病気で苦しむ患者に、僕はなにができるだろうと考えた。
そして思いついた。その患者にドラマを作ってあげようと。
ドラマの主人公は患者。我々医師はあくまで裏方である」と。
病院で、医師は主役ではないということです。
あくまで患者が主役であり、医師は病気を治す手伝いをして、
退院までのドラマを作っていく。
老人介護施設で働いている私は、
これを介護に置き換えたらどうなんだろうと思いました。
当然、主役は利用者であり、入居者です。
我々職員は、施設内でのドラマを作る裏方にすぎません。
入居者によっては、終の棲家になるかもしれません。
気持ちよく、穏やかに過ごす、人生最後のドラマ作りのお手伝いをするのが、
我々職員に課された使命のはずです。
しかし、そう考えて介護に携わっている人は、どれぐらいいるでしょうか。
主役は自分だと考える介護士はごく少数と思いたいですが、どうでしょう。
施設内での虐待の問題が、たびたび報じられます。
入居者が主役と思えば、絶対に起こりえない事件です。
介護は、見守り寄り添うのが大事だと思います。
人手不足の中、毎日が大変ではありますが、
そこだけは、忘れてはいけないと思います。