子どもを“受験バカ”にするな#2 ~一発で決めろ~
受験生の母親からよくこういうセリフを聞く。
『先生、うちの子は試験では間違っても家に帰ってやれば全部解けるんですよ!』
はい?だから?
それは残念ながら試験では何の役にも立たない言い訳です。
試験は決められた日程までに、決められた範囲(結構、反則を犯す学校もありますが)から出された問題を、決められた制限時間の中でどれだけ正答するかという競争です。ですから残酷な言い方だったかもしれませんが、家で解けても何にもならないわけです。
で、こういう(親)子の場合、必ずと言っていいくらい、子どもは同じ問題を何度も何度もやり直しをして(させられて)います。
算数はできない問題があっていいのです。
全員が数学者になれるわけでも、なるわけでもないですから、満点は要りません。
入学試験で7割取れたら『勝ち』です。
で、間違えてそれが原因で不合格になるのは難問ではないのです。
基本や中級程度の難度の問題です。少し格好つけて言えば、『正答率の高い問題』を落とすと不合格になる可能性が高いのです。
ですが、ここで、別の力が働くことがあります。
合格するかどうか(入学する学校と言ってもいいかもしれません)は受験までのプロセスでとっくに決まっているんです。
それを正解とすれば、指導する側と受験生の家族が相談し合い、訓練を重ね、その正解に辿り着くかどうかなのです。
例えばいつも高い得点が認められるのにたまたま入試の時に落とすこともあります。
で、それが原因で不合格になる場合もあれば、いつもできないほかの教科がものすごくできてできなかった教科の穴を埋め、結果合格する子もいます。
これは運命論ではありません。
真っ当なプロセスを踏んできた子は合格できると言いたいのです。
ではなぜ、何度もやり直しはだめなのか?
いくつかありますが…。
まず言えるのは子どもが疲弊します。それによって解答する時の新鮮な緊張感がなくなります。さらにやればやるほど飽きてきて頭に入らないし、入ったとしてもそれは『わかった』のではなく、『解き方を覚えた』にすぎません。
だから、お母さん。
直後のやり直しはそんなに手厳しくやることはないです。
ただ、どこでどうやって間違えたのか、子どもに見つけさせましょう。
それが一番力が付きます。その際も誘導をしては効果半減です。
自分で見つけさせます。
すると自然に子どもは『もう一度やってみる』ものです。
矢は放ってはいけません。
放たれるものなのです。