新型コロナと更年期のダブルパンチに要注意!
こんにちは。
薬膳師のクコの花です。
長い年末年始休暇をいただき先週7日から始動しました。
今週からNOTEも始動です。本年もよろしくお願い申し上げます。
昨年は長年の心的な疲労がピークに達し、とうとう更年期の症状を発症してしまいました。加えてこのコロナ禍です。事業経営者としての心労も加わって年末に体調を崩してしまい、薬膳師として活動を始めてから初めて寝正月を迎えました。
このコロナ禍で更年期鬱を発症する方が増えているのだそうです。更年期は男性にもあります(男性は女性より10年後くらいにやってきます)。ですから更年期年齢の方は特に気をつけて毎日を過ごして欲しいと思います。
私自身は52歳です。このまま更年期を感じずに終わるといいなぁなんて一昨年までは思っていたのですが、そうは問屋が卸さなかったようです。薬膳師として活動していくうえで自分が経験した苦しみというのは自分に強みを与えてくれます。
若い頃に兄を癌で亡くしたのも、肺炎をこじらせて会社を辞めるまで追い込まれたことも、子供が喘息やアトピーなどを発症して苦労したのも、すべては自分が薬膳師となってそういう苦しみで悩んでいる人に共感できる力を神様が与えてくださったのだと今は思えるようになりました。
きっと、更年期の苦しみも知っておけ!ということなのでしょう。
薬膳をしているのでお医者さまのお世話になるほどではありませんが、小さな体の変化を感じています。少しの期間だけドラックストアで売っている「命の〇」にはお世話になりました。
薬膳師としてこのままではいけないと、普段は作らない薬に近い薬膳スープを正月から作って飲んでいました。ブログにあげたところ、生徒さんから作り方を知りたいとの声を多数いただいたので、NOTE に残すことにしました。
八珍湯とは
漢方薬に八珍湯というものがあります。これは四物湯と四君子湯を組み合わせたもの。薬膳師や中医師を目指すならまず最初に覚えなければいけないと言われるほど有名な2つの方剤から成り立っています。
四物湯は主に血を補う薬。いわゆる血の道症といわれる婦人科系の病気にはこの四物湯が骨組みとなっているものが多いのです。血が足りなくなることで起こる様々な症状に使われます。
そして四君子湯、これは気を補う薬。私は北京中医薬大学の学生の時、君子には十分なる気(エネルギー)を補う必要があるからこれは「気を補う4つの生薬を組み合わせた君子の薬」として名前や働きを覚えました。
今となっては何も考えずにスラスラと口をついて出てきますが、当時は気を補うという概念さえ未知との遭遇のような状態だったので、方剤の名前や組成、働きを覚えるのは本当に苦労したのを覚えています。
八珍湯はこの四物湯と四君子湯を合わせているので気血の両方を補う方剤です。血も気も足りなくて、貧血のような症状がでる、生理不順や月経痛がある、胃腸の働きが低下してムカムカする、便がゆるいなどの際に用いられます。
年末の私はまさにこれらの症状のオンパレードで、生理不順と月経痛、吐き気、食欲の低下、やる気が出ない、鬱っぽいなどの症状が起きていました。雑煮もおせちも食べる気が起きないなんて、私の人生始まって以来、初めてのことでした。
八珍湯風のスープ
まさに八珍湯の症状で苦しんでいたので、八珍湯に倣って血を補う薬膳食材、気を補う薬膳食材を組み合わせてスープを作りました。
薬のような効能を求めていたので、味は二の次で作りました。
普段作って皆様にも教えている和漢膳は普段の食生活でいかせて、美味しく毎日続けられるものであるので、このような薬っぽい薬膳は作りません。
おそらく多くの皆様が薬膳と聞いて想像するのは今回のような薬っぽい薬膳ではないでしょうか?ですが、普段作る薬膳はこのようなものではなく、もっと美味しいものであることを重ねてお伝えしておきます。
私のように使い分けていただくと、より生活が豊かになります。
では、今回ブログに載せていた八珍湯風スープの作り方です。
作り方
長白山人参・・・1本(10㎝くらい)
茯苓・・・・・・3g
当帰・・・・・・1g
北金蛹虫草・・・適量
山薬・・・・4㎝位×4本
竜眼・・・・6粒~8粒
大棗・・・・5~6粒
枸杞子・・・大さじ1
生姜(皮ごと)・・・・1かけ
鶏肉・・・200g~300g
水・・・・1.5L
柚子皮・・・少々
塩、和漢だししょう油・・・少々
①生薬は全て軽く水洗いして30分ほど水に浸しておく。
肉は食べやすい大きさにぶつ切りにする(鶏肉でも豚肉でも構いません、本来は骨付のものがおススメですが、今回は家にあった鳥モモ肉を使いました。)
柚子皮は千切りにして食べる直前に盛り付ける。
②土鍋に水1.5Lを入れ、ゆず皮と調味料を除くすべての食材を入れて火にかける。
③沸騰したらアクをとり、弱火にして1時間~1時間半ほど煮込む。
④火をとめて、塩、和漢だししょう油で味をととのえる。
八珍湯は本来、当帰、川芎、芍薬、地黄(ここまでが四物湯)人参、青朮、茯苓、甘草(ここまでが四君子湯)でできています。
ですが、青朮や茯苓は薬局で処方を受けた方しか手に入れることができないので、本格的なものが作りたい方は漢方薬局に相談されてください。
でもね。。。これの組成通りに作ろうと思ったら、もうそれはすでに薬であり、薬膳ではないのですよ。ですから、できるだけ似たような働きをする薬膳食材を使いましょうね。
今回のレシピでは、人参、茯苓、北虫草、山薬は気を補う薬膳食材として、当帰、竜眼、大棗は血を補う薬膳食材として、枸杞子は肝、腎を補う薬膳食材として、生姜、柚子皮は補ったものを巡らせる食材として入れてあります。当帰は個人的に好きではないので、ほんの少ししか入れませんでした。
本来は3gくらい入れた方がよいでしょう。
※和漢だししょう油は和漢薬膳食医学会の推奨する薬膳ハウスのものです。メンターフーズのHPより購入できます。
要注意!!!
今日は八珍湯を紹介しましたが、更年期の症状がある人の全てがこの方剤にあうわけではありません。エネルギーがこもりやすく、イライラするなどの症状がある人には向かない処方です。方剤を飲むときはきちんと、漢方薬局などでご相談くださいね。