「いろはうた」は最強リリック
Yudaiです。
おじさんになってくると、いわゆる親父ギャグを言いがちである。
若者がキョトンとすることを、空気を読まず垂れ流してしまうという症状はさておき、何故我々は親父ギャグを発してしまうのか。
それは、日本人のDNAに「上手いこと言いたい」が脈々と組み込まれてしまっているからだ。
考えてみれば、古来から日本では「上手いこと言える」奴が地位を得、モテてきた。
モテにモテたという在原業平や西行など、伝説の歌人は皆上手いこと言いまくっているということになる。
現代において、日本ではヒップホップが改めて流行していますね。
本場アメリカでの発祥の経緯を知ると、日本語で日本人がヒップホップでラップってどうなの?とお思いの方も中にはいるかも知れないが、僕はラッパーこそ日本人に向いていると思うんですよ!
歌会の時代から続くアドリブ力と語彙力で「上手いこと」言えるのだから!
そんなかつての日本人の残した、史上最強のリリックを今回はご紹介したいと思います。
それは、
「いろはうた」!!
異論ゼロ。針すなお先生も10点。
これまでも「いろはうた最強説」を方々で吹聴して来た僕だが、noteでも改めて言いたい。
これを超えられる「上手いこと」は存在し得ない。
早速見ていきましょう!
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いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
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前提としてまず、仮名を一回ずつ全部使っているということ。
この縛りだけでかなりのライターが脱落する。
しかもキャッチーな七五調の今様形式でまとめているという。
濁点をつけ、漢字を当てると以下だ。
一般的な現代語訳と併せて。
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色は匂へど 散りぬるを
(匂いたつような色の花もいつか散ってしまう)
我が世誰ぞ 常ならむ
(この世では誰もが無常だ)
有為の奥山 今日越えて
(険しい道のりを今日乗り越えて)
浅き夢見じ 酔ひもせず
(儚い夢を見たり酔いしれたりはしない)
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やば。どうですか。この深さ。
「今日」を「京」とする説や、「浅き夢見し」とする説など多々あるようで、それによって少し意味も変わって来ますが、ざっくり言うと、仏教的な無常観を表しているんです。
知らなかったのですが、「有為」とは仏教用語で、因縁によって起きる全ての物事のことらしいです。
つまり「有為の奥山」は、無常の現世をどこまでも続く深山に暗喩しているというわけです。
どんなに綺麗な花も枯れるし、どんなイケメンも老けるし、人は誰でも死ぬ。
人生は辛いことも苦しいこともあるけれど、
それを乗り越えて慎ましく生きようよ。
何百年何千年経っても通ずる理りをこんな縛りの中で書き上げるなんて。
こんな最強リリックあるだろうか(反語)。
「儚さ」というのはいつの世も僕たちの胸に刺さりますね。
The Jackson 5 - ABC
この「いろはうた」、作者がはっきりしないというのもロマンがありますよね。
もし分かっていたら、上手すぎて「笑点」から座布団千枚くらい貰えただろうに。
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