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031 まず取り戻したいのは La La Live

9月16日から飲食店の営業時間は元に戻してもいいそうです。ということは、このnoteの連載も一区切りってことですね。長い間お付き合いいただきありがとうございました。

22時から23時までの1時間、お客さんが帰ったあと、本来なら営業していた1時間を使って、九条Tokyoで出会った奇跡について書いてきましたが、通常営業に戻れたらまず取り戻したいのは、これまで実施していたイベントの数々。

いくつになっても学ぶことはあるもんだと教えられることの多い「歴史トーク」や映画上映会もそうですが、音楽Liveもぜひ取り戻したいものの一つです。

みなさんは長唄って聞いたことがありますか。

ボクの子ども時代には、時々テレビで邦楽の時間と言うのがあって、長唄や三味線、琴などの演奏が流れていました。洋楽やj-popにハマる前に、そういうDNAがしみ込んでいる最後の世代かもしれません。

だから、元ちとせに惚れるのかも。

ある日、着物姿のお母さんと若者がやってきました。二人の会話を聞いていて、つい口をはさんでしまいました。だって、どう見たって十代か二十歳そこそこの青年が、長唄を勉強しているというんですよ。長い人生で、そんな若者に会ったことなかったですもの。

お母さんが三味線の先生で、お父さんは現代アートの先生だと言います。二人の間に育った若者は邦楽の世界へ。お母さんのお腹の中にいるときから、邦楽に親しんでいたからでしょうか。

なぜだろう。simply redが一番好きと言っているくらいなのに、二十歳そこそこで長唄を芸大で学んでいると聞いて、邦楽好きでもないのに胸が熱くなるのは。。。やっぱ、これってDNA?

♪ 目から火が出るよな所帯でも、火事さえ出さなきゃ、水入らず ♪

あっ、これは長唄ではなく、都都逸ですね。

芸大がそばにあるせいか、時々、先生や学生たちが訪ねてきます。その中で、信じられないくらい仲のいい姉妹がいました。訊けば、ヴィオラとヴァイオリンを勉強していると言います。

「二人で、投げ銭Liveでもやらない?」

普通、そういう話になると、「やりたいです」というのですが、その「いつか」は、まずやってきません。

ところがその姉妹は、いつがいいとその場で日程調整をして、友人を誘っての弦楽四重奏Liveが決まりました。住宅街が近いので、午後のティータイムLiveと、夕飯前のディナーLiveの2部構成で、とんとん拍子に投げ銭Liveが実現しました。

本当は半年に一度、彼女たちの成長ぶりを聴く定期演奏会にしようと話していたのですが、コロナ騒動もあって、それは実現していません。

来週から23:00まで店を開けていてもいいといっても、客足が戻るのは当分先のことでしょうね。いや、少し緩めたら再び陽性者が増えて、10月後半から年内は目も当てられない状態になっているかも。

単に陽性者が増えるだけで、また蜂の巣を叩いたような大騒ぎを繰り返すのでしょうか。その頃、スウェーデンはどうなっているのか、気になる~。

何が正解かなんて誰にもわからないことだらけですが、あんなに若いのに、一つの道を信じて懸命に研鑽を重ねている人たちがいる。ボクはそのことに励まされます。その発表の場を奪ってしまって本当にいいんでしょうか。

まだ、若いんだからっていう声も聞こえてきそうですが、若い時だからこそ、そういうチャンスは無数にあったほうがいいはずなのに。。。

ボクの大好きな映画「めぐり逢えたら」では、偶然、ラジオで少年の願いを聴きつけた女性が手紙を出し、その奇跡性に気づこうとしない父親の制止を振り切ってNYに会いに行った少年と、その父親と、女性がめぐり逢うまでを描いています。

奇跡的な出会いを信じる、それを「It's a magic」と呼んでいたような記憶が。

奇跡に出会うには、偶然や勘違いが必要です。そして、それを信じる熱い気持ちが。

でも、出会うチャンスさえ、交流する機会さえ奪われてしまっては難しいですね。

いい加減、onlineの便利さ、効能を認めろよって?

うーん。邦楽のDNAが刻まれている世代には、握手やハグの確かなぬくもりが。。。

えっ? 握手やハグなんて、しているところ見たことないじゃんって?

まっ、そこはそれ、長唄世代だから。。。でも、長唄って、どんなだっけ? 都々逸の一つや二つは覚えているのに。。。七七七五の26文字。

♪ 横に寝かせて枕をさせて 指で楽しむ琴の糸 ♪

あれ? 邦楽と言っても、これは方角違い。失礼しました。

♪ 切れてくれなら切れてもやろう 逢わぬ昔にして返せ ♪

本当に、コロナと会う前に戻りたい。いや、それは現実的ではないですね。いい加減、コロナ後の世界に行きましょう。

せーのー。



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