078 ベル・エポックでもう一度
あなたがタイム・トラベルできるとしたら、何年何月何日に戻りたいですか?
九条Tokyoで開催した「投げ銭サイエンスcafe」②では、タイムマシンが開発された日から先、つまり未来にしか行けないのが最先端科学の常識ですって話を聞いたと書きました。
ちょっと話が違うぞって言われそうですが、こちらは映画の話ですから。
作品は、2019年のフランス映画「ベル・エポックでもう一度」。
「タイピスト!」のニコラ・ブドル監督作品、と聞いたら、絶対見なきゃ、ですよね。
主人公ヴィドルが戻ろうとするのは、1974年5月16日のリヨンのカフェ。
1974年というと、昭和49年にあたります。その前日、日本では初のコンビニエンスストア「7-11」がopen。2日後には、インドが初めて地下核実験に成功しています。
何事にも初めてはありますが、ボクはまだ地方の高校生でした。初めてTokyoに出てくるのは、もう少し後のことになります。
さて、どうしてヴィドルはその日に戻りたかったのか?
その日、彼にどんな初めてが起こったのか?
それは、ぜひ映画を見て、ご自分でお確かめください、って、この投稿は何?
いや、とにかくステキな映画です。映画のセットを作って、客が戻りたいその日、その場所を叶えちゃおうというベンチャー企業が出現しちゃう。それも、デジタル上の仮想空間じゃないんですよ。
交わされる会話の端々に、フランス映画の魅力がいっぱい。いやぁ、映画ってフランスのものですよね。
1894年にエジソンが開発したキネトスコープを改良して、翌年スクリーンに動画を映し出したリュミエール兄弟はフランス人でした。これがシネマトグラフ。以来、人類は映画の世界に魅了され続けています。
ボクの大好きな映画を5本あげるとすれば、
「めぐり逢えたら」
「ショーシャンクの空に」
「フィールド オブ ドリームス」
「イル ポスティーノ」
「バルフィ!人生に唄えば」
でしょうか。
あれっ、イタリア映画にインド映画まで入ってるのに、肝心のフランス映画が入ってないぞー。。。
「冒険者たち」
「グランブルー」
「ディーヴァ」
「リトルプリンス 星の王子さまとわたし」
「愛と悲しみのボレロ」
それにヌーヴェルヴァーグからも、、、
うーん、、、1本を選び出せないよー。
とにかく、この作品は人生の最終コーナーを曲がろうとしている男と女の話です。フランス映画って、いつも男と女を描いていますね。
あっ、この表現って、ジェンダーへの配慮が足りない?
頼むから、モリなんとかみたいって言わないでくださいね。それ、一番ココロが折れるから。
でも、ボクの好きな「男と女」って映画のタイトルは、未来もそのまま生き残れるんだろうか。。。
ヴィドルだけじゃなく、我々古い世代は難しい時代を生きていますね。もう、ついていけないほどの激しさ。
それは、世の政治家や経営者にも言えると思うんです。60過ぎたら引退の準備を始めて、65歳になったら実務は引退しましょう。
残りの長い人生、何をするかって?
そりゃ、農業に決まってるでしょ。これだけ食料自給率が低くて、耕作放棄地が増えていく一方で、若い世代が安心して暮らしていけるはずないですよね。
ボクが戻りたい日は、映画のように50年も前でなくて、ほんの2週間前でいいんだけどなぁ。映画って不思議ですね。見ている作品は男と女の老いとすれ違いと和解描いているのに、ボクはまるで違う一人を思っていました。誤解しないでくださいね。思い描いていたのは、幼馴染の友人です。
髪いぢる手に光ありわが前にきみただ明日のひととして立つ (小野茂樹)
次回も、また映画の話ですって、珍しいでしょ、予告つきなんて。