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【読書】「SPQR:ローマ帝国史」前書きと第1章:シセロについて


ローマの歴史を知ることの重要性

古代ローマは現代西洋の政治や文化に多大な影響を与えた。例えば、元老院や立法制度といった概念がローマから生まれている。また、ローマが村から帝国へ発展した過程やその特徴を知ることで、現代社会の成り立ちを理解することができる。

シセロとカティリナについて

シセロは優れた弁論家であり政治家で、公元前63年に執政官に選ばれた。一方、カティリナは破産した貴族で、現状への不満からシセロの暗殺と全債務の帳消しを企てた。シセロはこの陰謀を暴露し、カティリナはローマから逃亡した。

二人が重要である理由と第1章に登場する理由

「カティリナ陰謀事件」は有名な歴史的逸話であり、この事件を通じて元老院やローマの政治の仕組みが見えてくる。元老院は現代の立法機関の原型でもある。また、シセロの演説や書簡は当時の出来事を知る重要な史料となっている。一方で、シセロの視点には偏りがあるため、カティリナの人物像や背景には再検討の余地がある。

シセロとカティリナの詳細

シセロは裕福な家庭の出身だが、家系に政治家はいなかった。それにもかかわらず、弁舌の才で執政官に上り詰めた。彼はカティリナの執政官選挙を妨害し、暗殺計画を察知して元老院に報告、密謀者を処刑することでカティリナの計画を阻止した。しかし、これが「市民の裁判を受ける権利」を侵害したとして批判され、公元前58年に追放される。その後、公元前57年に帰還するが影響力は低下し、公元前44年に内戦の中で暗殺された。

カティリナは名門出身だが、浪費癖や倫理的問題が多く、執政官選挙での連敗と経済的困窮により、債務帳消しを掲げて支持を集めようとした。ローマ軍に敗れて戦場で死亡するが、彼の行動はローマ社会の貧富の格差や道徳の堕落を象徴しているとされる。

矛盾と評価

シセロは自身の功績を誇示し、カティリナを極悪人として描写したが、ローマの貧困層が彼を支持した背景には社会の問題があった可能性がある。また、シセロ自身も政治的野心のために行動していた。両者ともに自己利益のために極端な手段を取った結果、自らを破滅に導いた。

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