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【ご飯が進むドラマ】「メディア王〜華麗なる一族〜」、欲望が織り成す家族の愛憎劇
「メディア王〜華麗なる一族〜」(原題: Succession)は、アメリカの風刺的なブラックコメディドラマで、ジェシー・アームストロングが制作し、2018年6月3日から2023年5月28日までHBOで4シーズンにわたり放送されました。このシリーズは、世界的なメディアとエンターテインメントのコングロマリットであるウェイスターロイコを所有するロイ家を中心に展開し、家長の健康状態に不確実性が生じる中、会社の支配権を巡る家族間の闘争を描いています。
このシリーズは、家族間の複雑な関係や権力闘争を描き、批評家から高い評価を受けました。特に脚本、演技、キャラクター描写が称賛され、多くの賞を受賞しています。
昨日、「メディア王〜華麗なる一族〜」をもう一度見終えた。お金持ちたちの争いを見ながら食べるご飯は本当においしい。会社の経営、融資、株の売買、株主といったテーマは、庶民の日常生活とはかけ離れていて、実感が湧かない話が多いけれど、それが物語の理解を妨げることはない。何より、金で作られた豪華なセレブ生活はただの外装で、その中身は、人々が利益や権力、時には愛のためにお互いを傷つけ合う話だ。
ドラマは最初から最後まで冷酷な皮肉に満ちていて、その皮肉(ブラックユーモア)は真実を語る場合もあれば、ただのエゴの産物となる場合もある。視聴者は笑いながらも、その裏に隠された黒くどろどろとした何かに気づかされる。
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登場人物全員が悪人なので、彼らのバッドエンドには妙な爽快感がある。彼らの生々しい悪を見て、その恐ろしさを感じずにはいられない。不作為で虚偽に満ちた強者への嫌悪や、もがき苦しむ無力な弱者への同情も、物語の中からひしひしと伝わってくる。
ローガン一家は、父親が仕事と会社しか愛しておらず、裕福な環境で育った子どもたちは世の中のすべてを金で手に入れられる一方で、父親の承認だけは得られない。父親の承認には、権力をもらえるという意味も含まれていると思う。
ロイ一家のメディア会社はアメリカの選挙を揺るがす力を持っており、そのトップに立つ人物は、アメリカを支配したも同然だ。政府の決定に口を出し、その方向性さえも変えることができる。だからこそ、ロイ兄弟だけでなく、ローガン・ロイの部下たちもその座を狙う。
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ドラマの中で、ロイ兄弟が本物の家族のように振る舞うシーンは数えるほどしかない。彼らは常に本音を隠し、冷酷な皮肉で相手の弱点を突く。感情を押し殺すあまり、一瞬の爆発で本心をさらけ出すこともあるが、その後すぐに仮面をかぶり直して立ち去る。
でもそれは彼らが社会化されたまともな人間だからではない。ローガンの子どもたちは、ただ大人の服を着た子どもでしかない。感情を押し殺す人間は、結局のところ何もコントロールできない。彼らが次々と過ちを犯してきたのがその証拠だ。
要するに、彼らは父親のローガンのように感情を持たない“アサシン”の心を持っていないから、誰一人として父親から承認を得ることができなかった。
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「ツイン・ピークス」から「ゲーム・オブ・スローンズ」、そして「メディア王」まで、HBOは音楽、美術、ストーリーのどれを取っても優れた作品を作り続けている。次回作も、その次の作品も楽しみにしている。