眠れない夜に眠れない理由を探すと眠れなくなる話
眠れない夜の眠れない理由。
下手な嘘みたいにたくさん出てくる。
未来、恋人、元恋人、失言。
漠然とした思考の波に襲われて
眠くなってベッドに入ったはずなのに、
目を閉じておくことに体力を使うようになる。
姿勢を変えて、枕の位置を変えて、
布団をかぶったり、片足だけ出してみたり。
それでも何も変わらず、むしろ不愉快になったりする。
呼吸の仕方も忘れて、自分の呼吸が気になる。
キュッと閉じた瞼の裏に無数の光が見える気がして
何も考えないように考えて
"頭をからっぽに"ってどういうことだろう
また気になり始める
どこからともなく聞こえる
水滴の音、風の音、耳の奥に響く沈黙が作る耳鳴り
自分一人の部屋で誰かを探す
寝心地の悪さは枕があっていないのだろうか
マットレスが悪いのか
買い替えようか
粗大ゴミで出さないといけないな
めんどうだ
ほら、またはじまる。
眠れない夜に、眠れない理由を探すと眠れなくなる。
窓とカーテンの隙間が白くボヤけはじめて
鳥の鳴き声が聞こえる
新聞配達のバイクもやってきた
眠れない夜は、眠れなかった夜になった。
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