クジラが先か蛇口が先か 184【集】
184.集
片方になった靴下が集まって相談しているこれからのこと/蛇口ひろこ
↓↓↓
ばさばさと床に散らかる髪の毛を集めてこれもわたしの死骸/藤田美香
※ひろこさん、次は「ばさばさ」で。表記はカタカナでもOK
■今回のひろこさんの歌
かわいい。絵本にもなりそう。
ひろこさんぽい。
ひろこさんぽいとかぽくないとか、前回から抽象的でごめん。作者ありきで話をするのは良くないね。ひろこさんとのいちごつみだから大目にみてください。
なぜひろこさんぽいと思ったのかを、書きます。
ひろこさん、この歌をかわいい歌にしようと思って書いたわけじゃないと思ったんよ。かわいい歌にしようと思って書いていたなら、とんでもなく見当はずれなので、笑って。
でもね深読みはしていないと思うんだよ、言葉通りに読んだよ。
というか、極力深読みをしないように心がけているんだよ(真顔
えっと、靴下が片方になるということは、靴下が靴下であるという本来の役割がなくなるわけで、存在価値の消滅というか、存在意義が揺らぐことになる。まあ私みたいに左右なんでもいいから履く輩もいるだろうけど。
この靴下たちは、自分の本来の役割が無くなったことに絶望はしていない。「これからどうするか」を相談している。
ただのあるある話じゃなくて、「なぜか靴下の片方って無くなるよね」の先、そこをひろこさんは書きたかったんじゃないかと思ったの。「これからのこと」という視点がとてもひろこさんぽいと、感じたのでした。
実景としての「なぜか靴下の片方が無くなる」だとは思う。だって無くなるもん、靴下。そこに関しては、やっぱり絵本にしたらおもしろそう。ついでだから、片方の靴下の天下り先のアイデアもメモしておきます。いつか絵本にするときに使って。
①穴が開いてなかったとしたら、私みたいなずぼら持ち主に別ペア見つけてもらえるver.
②穴が開いていたとして、繕ってもらえるver.
③別の人生として、隙間のほこりを取るのに重宝するver.
④何かしらのかわいいぬいぐるみになるver.
⑤借りぐらしに気に入られて毛布になるver.
ちょっと!これおもしろい…
つい先日も、我が家で片方現象が発生したので、問答無用で別のペアと3本でくるんとしといた。
■前回のひろこさんの歌
私は、主体が部屋の中にいると思って読みました。
部屋の中にいるのにイヤホンしてるから、全部が内側に向いていると思ったんよ。そうか、移動しているのか。それなら「車窓」とか「電車」とか具体を入れたほうがいっか。イメージが大きくぶれないもんね。何を一番「齟齬なく」伝えたいのか、というところになるのかなと思う。でも、ひろこさんと同じで、私もやっぱり最初の歌がいいなと思いました。あと、「齟齬」って打ったら勝手に変換されたけど、書けません。
それにしても、改作案がざくざく出てきて、ひろこさん柔らかいなあっていつも思うんだよ。自分の歌を客観的に読むって大事だよね。私はそれがなかなかできない…
■雑記
特になし
【181.線→182.イヤホン→183.片→184.集】