人が人を食べること―僕という心理実験25 妹尾武治
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第2章 日本社会と決定論⑰―正義がないなら悪もない食人文化
人が人を食べること。映画『ヒカリゴケ』では名優、三國連太郎がその様を、異常な目で怪演している。極限状態の人間を、ここまで演じ切ることが出来る三國は天才だとしか言いようがない。不遇な幼少期(支配階層の男性による母の性的搾取と、救ってくれた育ての父親の被差別の辛苦)の経験が、この目の実現の背景にあったことが察せられる。彼は人間の醜さに絶望し、本当の意味で憤った経験があったのだろう。哀しいが人は醜