
「舞台上に巨大なうずまきを浮かしてグルグルまわしたいんだけど」
小道具作りが得意と言っているとたまに周りの芸人から制作の依頼をされることがあります。
これこれこういうのが欲しいんだけど…とネタの説明をされるのですがだいたい芸人の発想なんて突拍子もないものが多いので「何を言ってるのかわからない」ことがほとんどです。しかし何を言ってるかわからないものを作ってる時は意外とわくわくしたりします。
2年ほど前のある日、先輩のポテンシャル聡さんに呼び出されました。
『あのさ、今度また劇団ハッピーヒューマンやるんだけど…』
劇団ハッピーヒューマンというのはポテンシャル聡さんと元巨匠の岡野陽一さんが率いる架空の劇団で、人力舎の若手芸人たちが架空の劇団員としてユニットコントをやる集団です。僕もメンバーに入れていただいてます。
「そうみたいですね!楽しみです!」
『それでさ、オープニングでね、舞台上に巨大なうずまきを浮かしてぐるぐるまわしたいんだけど』
「???????」
まじで何を言ってるのかわかりませんでした。
ようするに後ろの席からも見えるように直径3m級の大きなぐるぐるまわるうずまきを舞台上に出したい。会場の関係上、吊ったり、据え置きはNGで、袖もあまり広くないので出ハケがスムーズに出来る仕掛けとグルグル回せる仕掛けが必要という感じでした。
そして完成したのがこちら
きれいに出来たんじゃないでしょうか!
うずまきの後ろで二人がかりで回してます。
最初段ボールを大きい円に切って作ってみたのですが自重で壊れてしまったため考え直すことに。
そこで思いついたのがこの設計。
直径3mの板だと移動も大変なので布にして、遠心力を使って布がひろがり円になるようにしました。これなら軸の十字に組んでる木材の長さもそんなに必要じゃないので強度もあがり出ハケも簡単でした。
一人が塩ビパイプの部分を持って支え、もう一人がひたすらハンドルを回すことで3mのうずまきが完成します。
本番の数日前に完成し、舞台上ではじめて回した時には結構感動しました。
こうやって頭のなかの漠然としたものを現実にするため、我々小道具職人は日夜ワクワクしながら脳みそを捻っているのです。
ちなみにこの回の劇団ハッピーヒューマンではうずまきの他に「道ばたにしかけられている超巨大な巨乳の罠」も頼まれて作りました。
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