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久賀池知明
2023年3月3日 16:01
「こんなとこにあったっけ」飲み会で遅くなった夜、マンションのすぐ裏手の路地裏で、煌々と光る看板を見つけた。【〇〇〇理髪】難しい旧漢字なのか、なんて書いてあるのか分からない。光に吸い寄せられる虫の如く、フラフラと歩いていき中を覗き込んだ。チャキ……チャキ……猫が猫を散髪していた。小さい手で、小さいスキバサミを器用に使っている。寝そべる猫は気持ち良さそうに欠伸を1つして、ふとこちらを見
2022年9月17日 21:43
かれこれ10年近く懇意している友人がいる。中学で知り合い高校大学と同じ所に進み、更にシェアルームをしている程の仲である。腐れ縁、悪友、それらしい名称をあげれば大体当てはまるかと思う。流石に全部が全部同じと言うわけではなく、進む学科は違えば取る授業も違う。しかし私の人生においてこれほど気の置けない関係になれたのは、家族を含めて片手で数えるくらいしかいない。友人は私とは違い人当たりも良く頭が切
2022年6月28日 18:49
父方の祖父の実家には小さな子供が住んでいる。しかし、誰もその子の世話をした事がない。勝手に物を食べ、飲み、風呂に入って服を着る。特に悪さをする訳ではないが、寝室に立っていたり音もなく廊下の角から現れたりと、驚く事が多々あった。何故この家にいるのか、何故誰も気にしてはいけないのか、明確な理由は定かではない。一度話しかけた事もあったが、無視された挙句祖父に大目玉を食らったので、以降は話かける事