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『君は五番目の季節』

娘のお墓参りに行く準備をしていた時、
久しぶりに森山直太朗さんの曲が聴きたくなった。

『君は五番目の季節』

森山直太朗さんのこの曲は、
私にとって
忘れられない大切な曲だ。


この曲がリリースされた2005年の夏。
私は、初めて森山直太朗さんのコンサートに行った。
この年の3月、
私は、娘を死産で亡くした。

森山直太朗さんの歌で癒されたい
そう思った私は、
主人を誘い、
二人でコンサートに行った。

この曲が歌われたのは、
たしか、
コンサートの最後だったと思う。
新曲を披露すると聞き、
どんな曲だろうと
ワクワクしたのをおぼえている。

曲が流れ、
ステージ上のスクリーンに、
歌詞が流れ始めた。

『君と別れて…』
で始まるこの歌は、
奇しくも
最愛の人を亡くした悲しみを綴った曲だった。

娘の死が重なった。

『春が来て 夏が来て 
秋が来て 冬が来て
今年もまた 君がやって来る
君は僕に訪れる 五番目の季節』

3月5日に逝った娘。
冬が終わりを告げ、
春の気配を感じる頃、
娘の季節はやってくる。
そう、それは正に
私たちにとって、
『五番目の季節』

曲の物語が、
娘の死とぴたりと重なって
涙が止まらなかった

『目眩く悠遠に 願わくば 嗚呼…』

いつか、私も、娘に再会出来るだろうか。
そんなことを思った。



娘を亡くして間もなく、
ピーすけに出会った(昨年秋に天国に逝った愛犬)
2年後には、息子が誕生した。

夫、息子、ピーすけとの暮らしの中で、
娘を亡くした悲しみは、
少しずつ少しずつ和らいでいき、
いつしか、
私は、
前を向いて歩けるようになっていた。


あれから、16年。
今ではもう、
日々の生活の中で
娘を思い出して泣くことは
ほとんどなくなった。



つい先日、
娘の命日に
ふと、この曲を思い出し、
無性に聴きたくなった。
久しぶりに、
森山直太朗さんのCDを手に取った。



曲が流れ始めた。
途端に
涙が溢れた。



それは、悲しみの涙ではなく、
感謝の涙だった。

たくさんの人たちに支えられ、
私は、あの悲しみを乗り越えることができた。

何より、夫へのへの感謝の気持ちが溢れた。



今、心の風邪をひいている夫。



私に出来ることは…。



あの時の恩返しを…
そう考えてしまいそうな自分を
制した。


支えなければ、
なんとかしてあげなければと
思うことは、
きっと、
私を、
そして夫を
追い詰めることになるだろう。
そして、きっと、
二人で泥沼にはまってしまうに違いない。


今、私がすべきことは、
私にコミットすること。
そうだ。
私が私らしくあること。
それがきっと
夫の幸せにつながる。


私自身が愛で満たされれば
「なんとかしなければ」
そんなことを思わなくても
自然に愛を渡せるようになるだろう。



お母さん、大丈夫。
きっとうまくいくよ。


娘の声が
聞こえたような気がした。

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